表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/42

17話 初給与は何に使うのかね?

モンスター図鑑


ニードルワーム

体長30cmほどの芋虫、直径2mmほどのトゲが合計8本生えており、動物を見つけるとミサイルのように飛ばしてくる。毒針ではあるものの、毒自体はさほど強力ではないため、針が急所にさえ当たらなければ、大事には至らない。


 マリー君の過去をバフェット君に打ち明けてから数日が経過した。相変わらず、2人の仲は険悪なままだ。それに、バフェット君は、「クランを没落させる」と言っていた。一体何をするというのだろうか? 実のところ、その件に関しては、不安というより興味がわいていた。そして、今日、彼がアクションを起こすのではないかと、私は目を光らせていた。それは、なぜか……。答えは、簡単である。今日は、彼にまとまったお金が入るからだ。私は、その日の朝、彼を自室に呼び出し、銀貨の入った小袋を渡した。


「バフェット君、1か月ご苦労だった。これは、今月分の報酬だ」


「ありがとうございます。確かにいただきます」


バフェット君は、銀貨の入った小袋を受け取り私にそう言った。私は、彼に質問した。


「それで、そのお金は何に使うのかね?」


「はい、副業の資金にするつもりです。」


「副業かね?」


「ええ。当面の目標に取り組む前に、奴隷というラットレースを抜け出さないといけませんから」


「ラットレース? 聞いたことのない言葉だ。何かねそれは?」


「働いても、資産がたまらない状態のことをいいます。例えば、このお金を嗜好品に使ってしまえば、あっという間にすべてなくなってしまいます。そうではなく、この銀貨から銀貨を生み出せる仕組みを作ることが最優先です。」


「そんなことをしなくても、クランと対決するならば、私も資金援助するのだが……」


「……いいえ、それはだめです」


「どうしてかね?」


「相手は、莫大な資金をもつ資産家です。私は、まだこの世界の商売や経済を完全には理解していません。ですから、自分で資産を増やしながら、この世界の経済について知ることから始めたいのです。」


「そうか……私から見ても、君はその辺の学はきちんと積んでいると思うのだが……」


「もう一つは、クランと戦うには、あなたの協力が必要です。協力には、信頼が必要不可欠です。そのためにも、資産を形成し借金を返したいのです。その様子をぜひ見守っていてほしい。そして、信頼できると判断したのなら、その時はぜひ協力してください。」


「そうか……いいだろう。君の力をこの目で見させてもらおう。ところで、副業と言っていたが、何をするつもりなのかね?」


「ええ……まずは飲料を販売しようと思っています」


「飲料だと?」


「はい。飲料です。最初から疑問だったんです。あなたは、フランスの出身だ。しかし、コーヒーを飲んでいる姿を1度も見たことがありません。嫌いなわけでは、ないのでしょう?」


「たしかに、コーヒーは飲んでいない……というか、この世界でコーヒー豆を見たことがないのでな……まさか、あてがあるとでもいうのかね?」


「コーヒー豆は、この土地には存在しないでしょうね。気温が低いですから。でも、代用できるものは見つけました。」


バフェット君は、ポケットから木の実を取り出した。


「これは……ドングリかね?」


「はい、その通りです。これがあれば、まがい物ではありますがコーヒーを作ることができます。まずは、このドングリを集めてから試作ですね。」


「そうか……もしそれが本当なら、私も購入させてもらおう。実のところ、コーヒーが恋しいのだよ」


「とにかく、今日は休日ですからさっそく収集に行ってきます」


そう言って、バフェット君は意気揚々と部屋を出て行った。それから、まもなくして、今度はマリー君が、私の部屋に入ってきた。


「旦那様、先日ご相談した件なのですが……」


「ああ、今日休日をとりたいという件だな。構わない、思う存分羽を伸ばすといい」


「……ありがとうございます」


マリー君は、私に礼を言った後に体をくるりと向けドアノブに手をかけた。私は、彼女が部屋を出る直前に言った。


「もしかして、バフェット君を見張るつもりかね?」


ドアノブを回そうとした手が一瞬止まる。しかし、それは、一瞬のことだった。マリー君は、私の方を見ずに、


「休日ですから。私も自由に過ごすだけです」


とだけいって、部屋を出て行ったのだった………………やれやれ………………。



 屋敷を飛び出したバフェット君は、軽い足取りで町にある冒険者の宿へと向かい、依頼を受注した。どうやら、ドングリの収集は冒険者に依頼するようだ。彼が依頼の手続きをしていると、一人の少女が声をかける。


「バフェットさん!! 久しぶりです!!」


「ミカじゃないか!! 久しぶりだね、元気だった」


その少女は、彼の相棒だったミカ君だった。ミカ君は、久しぶりに出会った相棒に喜んでいるようだった。ミカ君は、バフェット君に尋ねる。


「バフェットさん、今日は何しに来たんですか?」


「うん。依頼をしに来たんだよ」


「え? それなら、私その依頼受けます!! 一緒に行きましょう!!」


「そうだね、それが一番いいね。 銀貨3枚分の報酬なんだけど大丈夫?」


「銀貨3枚分ですか、それだとこちらの手元に来るのは、銀貨1枚ですね。5000円分かぁ」


「2~3時間で終わるよ」


「そうすると、時給2000円くらいですかね。いいですよ」


「ちゃんと、時給換算するようになったんだね。自分の労働価値を頭に入れるのはいいことだよ。偉い!」


「私も成長するんですよ!!」



 バフェット君たちは、町から少し離れた森に移動した。森の中を散策しながら、ミカ君はバフェット君に言った。


「このあたりは、近くに茶畑がたくさんあるんですよ。収穫して紅茶にするんですって」


「なるほどね、この町には紅茶が安く出回っているもんね」


「はい、おかげさまで、ミルクティーとか飲んだりできますよ。前の世界に居たことを思い出します。ところで、この森で何をするんですか?」


「うん、ドングリをたくさん集めるたいんだ」


「ドングリですか? どうしてまたドングリなんですか?」


「そうだね……依頼を終わらせたら説明するよ」


「わかりました。それじゃあ、ここから先は私が案内しますよ。何回か別の依頼でこの森には来ているので、ドングリの木がいっぱい生えている場所を案内しますよ」


「ありがとう。助かるよ」



 歩いて数分といったところだろうか、2人はドングリがたくさん落ちている地帯にたどり着いた。バフェット君がドングリを一つ拾い上げて言った。


「これは……スダジイだね。これを、たくさん拾っていこう!」


バフェット君が、作業に取り掛かろうとしたその時だった。ミカ君が、彼の肩に手を置いて言った。


「待ってください! 少し様子が変です!!」


木の上部をよく見ると、木の幹に芋虫型のモンスターが何体もへばりついている。ミカ君はそのモンスターのことを知っているようで、思わず声を漏らした。


「ニードルワーム……こんな場所にまで………………」


バフェット君は、木の上にいるニードルワームを見ながら言った。


「ニードルワームって、毒のトゲを飛ばしてくるっていうアレかい?」


「はい。最近、この森周辺で大量発生していて困ってるんです。あいつら、茶畑にもやってきて葉っぱを食い荒らしちゃうんです! 最近、ニードルワームの退治の依頼が多くて困っているんです!!」


バフェット君は、ミカ君に質問した。


「強さはどのくらいだい?」


「毒自体は、大したことありません。数日間、じんましんがでてかゆくなるくらいです。ただ、毒針がかなり太いので、目とかに刺さるとかなり危ないですね」


「わかった。それじゃ、いつもの作戦で行こうか」


「え……それってもしかして……。」


「うん、僕がドングリ集めるから、近づいてきたニードルワームを片っ端から倒してよ。出来るかい?」


ミカ君は、言った。


「別に、できますけど……。いい加減、女の子にそう言う役目を押し付けるのどうかと思いますよ」


すると、バフェット君は冗談交じりに言った。



「僕はそう思わない!」



「おいコラ!!!!!!」



 ミカ君は、バフェット君にツッコミを入れるのだった。



バフェット君の経済状況

収入

銀貨5枚 25000円

支出

銀貨3枚 15000円

  →冒険者依頼分

残高

銀貨4枚 20000円


借金

金貨19枚 475万円

銀貨35枚 17万5000円

合計    492万5000円



最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白かった、続きを見たい、ミカの出番増やせ」


と思った方は


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。大変励みになります。


オレンジ色の《ブックマーク追加》を押していただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ