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不思議な国から来た同居人

お読み頂き有り難う御座います。

お葬式の後、家に帰ったチャミラです。

 まあ、ひたすら悲しんでも……仕方ないので、パン屋を続けるけどね。

 貯金は有るけど、一生分有る訳じゃないし、働かないと。田舎はシビアだからなー。泣き続けてもお母さんも困るよ。

 しかし、困ったことになったかも。

 私の見た目は、母親と瓜二つ……だったら良かったけど、シュッとした美貌になりつつある。

 このままでは美しさが加速して、カンストして!周りの野郎共を骨抜きにしてしまう日々が訪れるかなあ。


「今度は……私目当ての客を私があしらわなきゃならないのかな。

 モテるって困るだろうなあ。モテたことないけど」

「ねえよ。チャミラ目茶苦茶ドライじゃん」


 お葬式後、ギリアムが勝手にお茶を淹れて、私が昨日焼いたクラッカーをボリボリ食べながら、私の未来予想図を否定してきた。

 解ってるわ。ちょっと言ってみただけじゃん。

 チャラいのにいい顔してたら、ストーカーになられるじゃん。


「明日からどーすんの?」

「いや、普通にパン屋として暮らすけど」


 と言うかそれ以外に道はない。お母さん狙いの客足は落ちるだろーなー。万が一食べるに困ったら、隣村の大型パン屋で働かせて貰えないかなー。


「そっか。気落ちするなよ」

「ありがと」


 ……お母さんが死んじゃったのは悲しいけど、ギリアムがいてくれるから、寂しくない。

 それにしてもギリアムってば何処から来たんだろ。

 未だに、蒸気バイクを直す為に悪戦苦闘しながら裏の小屋で寝起きしてる。直らないと歩いて帰れない所らしいんだ。

 だから、小屋を貸してるんだけど……結構長く掛かってる。


「ギリアムも修理頑張りなよ」

「バッサバサのパーツってマイノリティーだったんだなーっての、ホントに身に染みる……。隣村のパーツ屋、今度何時開くのかな……」


 隣村のバイク専門のパーツ屋さんって、店主さんが凝り性でマニアック過ぎて中々お店開けないんだよね……。こまめに見に行くしか無いなあ。


「ココホレハマレとは違う隣の国だっけ、そのボサボサって」

「バッサバサだっての」

「空に島が浮いてるなんて不思議だよね……」


 聞けば聞く程よく分からない。世の中には知らない所が有るんだね……。


「同意するけど、国境越えたら即地下しかない国ってのも変わってるぞ」

「照明がギラギラで面白いよ」

「……一酸化炭素中毒とかどーなんだそれ」

「そのナントカ中毒はよく分かんないけど」


 世界って不思議だよねー。国境って言っても此処等はユルいから村同士の交流も盛んなんだよね。





 ギリアムとの出会いは半年前。山菜摘みしてたら後ろでボソッと異音がしたので振り返ると、低い木に足が生えていた。


 いや、上から落ちてきた人間が刺さっていた。


「ぎゃああえええええ!?」

「た、助けてくれえええ!!」


 死んでるのかと思ったよ!!

 足の持ち主がデッカイ声を出して助けを求めてきたから慌てて目茶苦茶引っ張った!低木に頭から刺さった人なんて初めて見たよ!!

 私の機敏な救助活動のお陰だよ!首折らなくて良かったよね。


「ふう、ひい。死ぬかと思ったあああ!!」


 引っ張り出したのは、男の子だった。

 年頃は私と同じぐらいの14か5歳位。

 綺麗な薄茶色の髪に、秋のお月様のようなとろっとした黄金の瞳。

 冬の日にふうふうして飲む、ミルク入りの紅茶に、スプーンで掬い上げて溶かす蜂蜜みたいなあったかい組み合わせ。


 彼を目にした途端、キラキラが目にチカチカして、頭がくらんくらんして、ぶわって頭から爪先から尻尾まで痺れが迸った。


 こんな衝撃、初めて。

 何て、綺麗な子。こんな田舎に場違いな……。


 これって、運命?もしかして、一目惚……!!


「うわ肘擦りむいてる!?結構エグい痛いいいいい!!」


 衝撃は秒で解けたけどね。あのときめきを返せ。


ギリアムは他国から来たみたいですね。

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