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訳アリヒロインの娘ですが、お構い無く  作者: 宇和マチカ


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27/30

断片の中で嗅ぎ取ったこと

お読み頂き有り難う御座います。

狼王子の兄弟喧嘩(口論)で御座いますね。

 ……狼の王子様達が言い争ってしまった。

 私に与えられたことは、断片的で……所々分からない。

 それにさっきからショックで、混乱して緊張して……頭が上手く働かない。

 本当に、私の事なの?


「兄上、私は」

「ユーイン。私の地位を狙うのは良いが、宰相と組んで此処から追い出そうなんて考えていないだろうな?」

「……追い落とされるような後ろめたいものが有るのですか?大体、この前の夜会でも王太子妃ではなく、ネラ嬢をエスコートしていたと聞きました」

「仕方有るまい、妃は踊れないのだから。私が水槽の中で溺れて藻掻けばいいと?」


 ……す、水槽?え、えーと。デクスター王子様のお妃様は……水槽に住んでるの……?な、何でだろう。魚の獣人なのかな。鮭とか鱒とか。

 生態系が違うお妃様との生活って大変そう……。


「……兄上こそ、最近はネラ嬢と随分距離が近しいのですね」

「はは、親戚ではないか」


 ……この前から、チラチラ出てくるなあ、ネラさん……。ジュランさんの、妹さん、だよね。


「それで?其処のチャミラ嬢を認知するのかな?可愛い弟よ」

「……腑抜けていた私に伝えられなかった事については、理解しています。ですが、……大事だった婚約者との娘です。あの時は本当に世間知らずで傲慢な子供で、苦しい思いをさせてしまいましたが」

「殊勝な事だなあ」


 ……そ、そんな嘲るような言い方。

 ユーイン王子様は、震えているのに。それなのに、私を庇ってくれて……。


「ユーイン、贖罪は叶わないかもしれないぞ」

「……覚悟の上です。兄上。我らは……目を背けて来たことに向き合わないといけません。失ってからでは遅かったでしょう」

「……随分と、知った風に賢しげなことを。……チャミラ嬢とて、無欲でお前の元へ送られた訳でも有るまい。

 さて、何を持ち掛けられた?」


 ……!?

 わ、私!?……わ、私の、持ち掛けられたって……まさか、ジュランさんとの会話を知ってるってことなの?

 こ、怖い。

 何で知ってるの……。

 まさか、ギリアムの事を……。


「……頼りないお父様の背中に隠れているか?それも良いが、共倒れしてしまうのではないかな。伯父の方が頼りになると思うがな」

「……兄上こそ、初対面に近い子供を上から脅すような口調は、お止めください。頼りになる伯父とやらで居たいので、有れば」


 …………。

 口が、ヒリヒリするくらい乾いてきた。

 怖い。デクスター王子様は、怖い。

 ユーイン王子様が、過去に何をしてきたかは断片的で……イマイチ分からないけど、とっても悔いてるのに……。

 どうして兄弟なのに、そんな辛くて、嫌な言い方をするの……。


「デクスター殿下、デクスター殿下。どちらにおいでですか?わがきみ、どちらにおいでですか?」


 ……鈴を転がすような、可愛い、舌足らずな声が聞こえてきた。小さい女の子……?


「……興が削がれてしまった。では、また会うとしよう。……チャミラ嬢に恨まれないと良いね、可愛い弟よ」


 ……………………。

 ……………………行ってしまった。

 足音が、戻ってこれないくらい遠ざかるのが聞こえて、行儀が悪いけど、床にへたり込んでしまう。

 ……目茶苦茶フカフカな絨毯だ。お気に入りだった私の部屋の敷物とは桁が違うんだろうな……。


「……情けないところを見せて、すまない」

「い、いえ」


 王子様に手を差し出されちゃったけど……腰が抜けて立てそうにない。


「すみません、立ち上がれそうに無いので、このままで」

「……兄上の前でよく我慢してくれた。……良い性根だ。すまん、少しだけ」

「……きゃん!?」


 …………抱き上げられて、凄く綺麗な長椅子に座らせて貰ってしまった。

 男の人に抱き上げられるの多分、二回目?でも、……匂いが、嫌じゃない。

 ……嫌悪感は、無い。

 やっぱり、この人は身内……なんだ。


 ……頭の中グチャグチャな中で、何故かそれだけポカッと……抜けたパズルのピースが填まったみたい。

 ……何でか、よく分からないけど。


 お母さんが言ってた、狼獣人の男の人。

 ……聞いていたのと、似ているからかな。


「貴方は私のお父さん、なんですか」

「……ああ。そのようだ」

「私は、チャミラです。……お父さんの娘だって証拠は、無いんですが」


 ……ユーイン王子様、お父さんは首を振った。そして、恐る恐る、私の手を握る。

 大きくて、冷たい手。……震えていた。


「何も要らない。……此処に来てくれて有り難う」


 来たのは、成り行きで。

 しかも、ギリアムの為……もう二度と、別れたくないからいるのに。


 産みのお母さんは私をどうして手放したのか。育ててくれたお母さんは誰なのか。何でお父さんは私の事を知らなかったのか。他にも色々。

 何も解決はしていない。

 でも、何故かな。体の中心から、指先に、ジワジワ温かい。


 初めて、お父さんと会えて嬉しいなって気持ちが……子供の頃に諦めていた気持ちが、涌き出てきたの。

 お母さん、お父さんと会えたよ。お母さんの好きな人なんだよね?


 ギリアムの事……お父さんなら、助けてくれるかな。

 一緒に居たいって願いを、話してみても良いのかな。

王太子妃は隣の国産まれの獣人ですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 匂いで身内認定できるとは、獣人は便利です。 [気になる点] 王太子は、アクアリウムの件からだと、浮世離れした、趣味に傾倒する変人てイメージでしたが。 こんな性格だったとは。 キレ者て感じは…
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