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訳アリヒロインの娘ですが、お構い無く  作者: 宇和マチカ


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21/30

待ちうける狼

お読み頂き有り難う御座います。

王都に到着後のお話です。

「取り敢えず何て言うか疲れただろ?汚い店だけど、風呂はリフォームしてるし行こっか。狼ちゃん」

「お、お店……?」


 ギリアムのお勤め先って、お店だったんだ……。

 首領って呼ばれてたジュランさんは……目茶苦茶イケメンだけど、何のお店のオーナーさんなんだろ。

 こんな沢山従業員を抱えて……空飛ぶ船も持ってる?のかな。田舎者の私には分からないけど……お金持ちなんだなあ。


「ジュラン様、馬車でのお召しですの?」

「いやフツーに俺はバイク。翼竜ちゃんは狼ちゃんと乗れ。ギリアムも睨むな?乗って良いから」


 バイク……あ、ギリアムが落ちてきたのとは……違う。

 黒い金属に薄い青のフレームの……大きいバイク。

 ……どうやって動くのかな。


「……あ、浮かんだ!!凄い……」

「俺の方が運転上手えし」

「いや張り合うな盗らねえっての。先行ってるからな。兄貴が連れてきてるかも知れないし」


 ……変わった色の煙を上げて、ジュランさんが街の方へ凄いスピードで飛んで行っちゃった……。

 ……此処からでも、沢山の煙突から煙が上がってるのが見える方向へ。……凄く、巨大な都市なんだなあ……。


「あれが、空飛ぶバイク……」

「……俺の方が運転上手いからな、チャミラ」

「煩いですわよエストール!!ああ、ジュラン様!腕が治りましたら是非とも併飛行したいですわ……」

「何だヘイヒコウって。大体遅い翼竜がバイクに並んで飛べないだろ」


 あ、無いんだその単語……。シュラヴィさんの国の言葉かと思った。……あのバイクに付いていくの大変そうだよね。


「失礼極まりないですわね!!」

「あの、馬が来たけど……」


 カポカポ蹄の音が聞こえる。……こっちは私も知ってるような馬車だ。そんなに豪華でも無いみたい、普通の古い幌の馬車。失礼かもだけど、ホッとした。


「ああ、チャミラ様、申し訳有りませんわ!参りましょう!!」

「上がれるか?」

「ギリアム、捕まって」


 寧ろ私が庇わないとね。差し出してくれた腕を組んで、ギリアムを馬車の中に押しやった……けど、お、重い。


「安全の為に、目的地までは窓を開けないでくださいませね」

「え、あ……うん」


 ちょ、ちょっと残念だな……。

 あの綺麗で大きい街を見たかったんだけど……。……でも、どうせ王女様疑惑とか直ぐ解けるだろうし……帰りに彷徨けば、良いかな。働かせて貰えそうなパン屋さん、チェックしたかったんだけど。


 そして、街並みを見ずに、馬車に揺られて……。

 私達は、ちょっと暗めの裏通りに有る……何のお店なのかな。此処。


「ええと、酒場?」


 その割には……静かかも。

 もう夕方だから……隣村の酒場なら賑わってる頃、なのに。


「まあ、ご慧眼!裏稼業ネットワークのシャーゴン王都本部ですわ!!」

「え、ウラ……ネット……何?」


 それ、都会では酒場の別名か何かなのかな……。

 裏稼業って聞こえたけど……裏、稼業!?

 え、どういう事かな……。


「兎に角入ろうぜ。今日の宿だから」

「えっと、酒場付の宿泊施設?」

「似たようなモンかな」

「あ、待って、ギリアム」


 ……ギリアムが開けようとしたドアを代わりに開けると……綺麗な音を立てて、ドアベルが鳴った。

 ……?


 誰か、他のお客さんが居るみたい。


「……」


 あ、狼獣人かな。

 照明が暗くて、毛並みは分からないけど……。

 少し猫背の背中をこっちに向けて、古くて重そうなカウンターな置かれたお酒を飲んでるみたい。

 ……酒場なんだね、やっぱり。




チャミラは知りませんが、裏稼業ネットワークは地味に貸し切り中です。

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