母はまるで物語のヒロインぽかった
本日は二話投稿してます。ご用心くださいませ。
えーと、ウチの母プリティアはですね。村でひとり、パン屋を営んでおりました。子供は娘の私、チャミラと母1人子1人で質素に地味に暮らしておりました。
と、此処までは普通なんだけどね。
モテたんですわ。
それもまあ、尋常でなく、狂気な迄に、呪われてんの?って程にモテた。
道を歩けばモテる。
街でコケてもモテる。
川で洗濯しててもモテる。
山で柴集めててもモテる。
しつこいナンパに顔面パンチしても、モテる!
とーにかく、非常識な物語のヒロインかってくらい、モテる。モテモテのモッテモテ。ウザモテする。
顔は確かに綺麗だよ。お母さんの髪の色だったら良かったなあって思う位、綺麗なキラキラした色だもん。
私の赤茶色ってのかなあ。それよりずっと綺麗。あんな髪だったら良かったなあ。
まあ、お母さんのモテっぷりで、当パン屋は連日連夜の大盛況。
村のオッサンは勿論、余所の村からも通う常連のオッサンがおり、まあ売れるわ売れるわで、即日完売。
小さい頃はこれがスタンダードかなあと思ってたけど、流石に異常なのは街のパン屋で知ったよ。
あ、よく疑われるけど、味は普通の手作りパンです。
ヤバイ薬はキマってない作りです!無添加自然由来ですから!
証拠なら、毎日お召し上がり頂いてる村の女性陣を見て!普通に健康でいい人揃いだから!変な魔法なんか使えませんし、薬物汚染とか無いから!!
……信じられないよね。でも、あまりにも狂気的な光景にね。通りすがりの女性騎士様に散々疑われたんだよねー。あの時は大変とっても怖かったなあ。
その疑い、分かるけど。余所のパン屋店主は行列は出来ても、拝まれないって分かってるから!普通のパン屋のおかみさんは、どんなに名店でも出待ちされないもん!
疑惑は、目の前でガサ入れを受け入れ、目の前で捏ねて焼いてお出ししてやっと御納得頂いた。
母のモテが天然で無意識で自分にも大迷惑!だってことを信じて貰えて、本当に良かった。騎士様が帰りにモテる理由を聞いてたけど、何でか解る訳無いよー。
でも、騎士様が真っ当ないい人で良かった。
危うくしょっ引かれる所だった事態に、当時7歳の私は泣き叫んだもんだよ。
親1人子1人なの。私にはお母さんはマジ必要。
お母さんが拐われたり(後に未遂アリだから困る)して困ったら訪ねておいでって飴貰ったしな。
容疑を晴らせて本当に良かった。
まー、お母さんの見た目が貴族みたいって言ってたし……パン作りそうな見た目じゃないのが悪かったのかも。
いや、どんなんだ、いかにもパン作りそうな見た目って。言い掛かりじゃない!?なーんて後でモヤモヤ思ったけどさー。
地味にあれは立派はトラウマ。
……きっと、今回の葬儀も追加される、かも。
チャミラのお母さんは訳アリですね。