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訳アリヒロインの娘ですが、お構い無く  作者: 宇和マチカ


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17/30

飛び越えた暦と動かない時計

お読み頂き有り難う御座います。

ギリアムと話すチャミラです。

「何処から話すかな……」

「……は、話しやすい所からで、いいよ。……ぐる」


 お腹は満ちた筈なのに、三角巾で吊られて、包帯の下にあるギリアムの傷から目が離せない。

 勝手に目が潤んできて心臓を絞ってるような痛みが有るのに、甘い血の匂いで……頬っぺたに熱が籠って、勝手に喉が……鳴る。


「……大丈夫か、チャミラ」

「噛んで、ごめんなさい……ぅう」

「気にすんな、とも無理か。……取り敢えず、ガン見は止めろ」


 ……そ、そうだよね。

 私、本当におかしい。ギリアムから目を逸らして……後ろの壁に吊られた鳩時計を見つめた。

 ……場違いなぐらい、可愛い時計……。でも、針は全く動かなくて……壊れてる?ネジを巻くの、忘れてるのかな。


「改めて名乗るか。俺は元々上江州亨っていう名前なんだ」

「……うえす、とおる?」


 前に聞いた名前……忘れたけど、今のとは発音が少し、違うみたい。

 不思議な言い回し……。


「……発音上手いなチャミラ……。一発で言えたやつ中々居ないのに」


 吃驚した……少し見開いた蜂蜜色の目に、ちょっと得意げな気分になれた、みたい。少し調子が上向いた気が、するよ。

 ……体格は大きくなったけど、……ちょっと精悍?になってるけど……困った時に口の左端を歪める所とか……ギリアムだ。

 喉が少し、鳴らなくなってきた。落ち着かなきゃ。


「そう。俺の住んでるところ……目茶苦茶遠いみたいだけど……から、バッサバサに……何かいつの間にか来てた」

「……誰かに拐われたの?」

「いや、そういうモンでも……無いらしい。突然来てしまって、突然居なくなるって……言われた。降って湧いたような、話だって」

「……不思議な話」

「だよな」


 ……眉尻が下がってるよ。私の不用意な発言で困ってる……。

 ……うう、私……何でこうなんだろう。


「それが、異世界種……らしいんだ。俺もよく分からん」

「異世界種……」


 私ならどうするだろう。

 此処に……訳判らないまま流されて付いてきた訳だけど、結局は私の足で歩いてきた。

 でも、ギリアムは勝手に連れて?迷い込んで?来たんだよね。


「幾つの時にこっちに?」

「多分、4歳。バッサバサの……貴族の癖に自警団率いてる変わり者のおっさんに、養子にして貰った」

「……苦労したんだね……」

「いや、戦い方も教えてくれたし……ただ、その、オヤジの番が見つかったって……聞いてから……」


 ああギリアムの表情が、暗い。

 きっと、傷も痛むのに……。


「あの、言いにくいなら……私に言われたくないかも、だけど。休んだ方が」

「いや、いい。どの道もう此処まで来たら言っちまう。傷の件は……気にすんな」


 どの道此処まで……って言うのが少し、気にかかる。

 だけど、話の腰を折りたくなくて……私は話し出すのを黙って聞いた。


「お前に初めて会った時の、そのちょっと前。俺は……バッサバサのオヤジと一緒に居た。とある老夫妻の抱えていた卵……。オヤジの番になる卵を迎えに行って……その時に、襲撃を受けた」

「養子先のお父さんの、番になる、卵……?それが、親戚になる卵……?」


 ……それって、もしかして。

 昨日?一昨日?聞いた……シュラヴィさんの、境遇と……目茶苦茶被る。


「お前と出会った時……俺は多分、向こうで突然居なくなったんだ……。そんで、今回も」


 だから、ギリアムの姿が……成長してるの?もっと昔から来て、私達と居て、戻って……大人になって?

 訳が判らない。頭、ぐちゃぐちゃ……。


「多分、幾つもの歳とか、暦を何故か飛び越えて……?俺は此処に今居るんだと思う」

「それって……でも、そんな……じゃあ、ギリアムはまた何処かへ行っちゃうの!?こ、此処に居るのに!?嫌だよ行かないで!!噛んだのを償わせてよ!!」


 訳が判らなくて、思わず、ギリアムの腕を掴みそうになって……耐えた。

 これ以上、触っちゃ……うう、これ、以上……触りたい……。


「俺だって何処にも行きたくない」


 ギリアムの手が、私の頭の上……を少しウロウロした後、優しく肩に乗った。

 ……何で、そんなに気を遣った優しい触り方なの。


「ねえ、もしかしたらさ、何かの間違いかもしれないよ。世界には色んな種族が居るって商人さんが言ってた。他の、似たような……急に成長する種族、とかかもしれないよ」


 駄目だ、泣いていい訳じゃないのに……鼻が詰まる。

 そんな私に、ギリアムは困ったように答えた。


「時間の流れが違う……のとは違うみたいだけど、チャミラとは何時まで居られるか判らない。今か、もっと後か。俺は、次、何時の何処に行くかも判らない」

「い、嫌だよギリアム……。そんな、そんな」

「関係ないかもしれないけど、俺が時計を持ったり、側に居ると動かないんだ。例え時計が新品でも。

 それが、異世界種の証明らしい」


 ……私はその言葉がショックで……自分の爪で腕を貫くかと思った。


異世界種は属性が多いです。

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