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December

作者: John

母に捧ぐ

木々の葉も落葉し晩秋から初冬へと移り行き冬到来。ベッドから這い出す朝が何とも億劫なディセンバー。街は鏤められた宝石のようなイルミネーションで彩られ恋人達が仲睦まじく歩いている。デパートもクリスマス一色。親子連れや愛する人への贈り物を求めて盛況を見せている。まあ、そんな俺にはクリスマスもへったくれも関係ねえ。俺にはかみさんも子供もいなけりゃ恋人なんて存在もいりゃしねえ。でも、そんなディセンバーが好きなんだな。人や街が賑わっているのを嫉んだりしている訳じゃねえよ。寧ろ、その逆だ。それだけ世の中の大半が平和だって事の裏返しなんだからよ。でもよ、まだまだ貧しい国が存在し貧困にくるしんでいる人々、内戦が勃発して軍事介入でクリスマスどころじゃねえよって人々やそれに従事している兵士がいるってのも世の現実だ。病気や飢餓にくるしんでいる人々だっている。宗教や人種の壁に隔てられて絶えない争い。クリスマスってなもんは、キリストの降誕を祝う日だって言ってるけどよ、キリスト、釈迦、アラーなんてのがよ仮に前世に実在して神として崇められているんならよ、この世のみんなは毎日が生きてるだけで幸せってな世の中になってるんだと思うんだけどな。俺がペシニズム的思想を抱いていてある種のそこら辺の無神論者と同じになっちまっているからかも知んねえんだけどよ。だからよ、こんなくだらねえ事言ってんだけどよ。でもよ、そんな俺でもよ、エバンジェリストの説教とかゴスペルなんか聴いているとよスピリチュアルな思いにも浸っちまうんだからよ、不思議なもんだな。もみの木の下に愛する人への贈り物を置いておくなんてのも胸がキュンとしちまうよな。朝、愛する人が胸を踊らせて包みを開けるシーンなんて目にしちまったら嬉しくなっちまうよな。結局よ、神の存在云々とかじゃなくて人々が手と手を取り合い持ちつ持たれつ助け合っていれば世の中は楽園になるって事なんじゃねえかな。だからよ、愛する人の為に人々が目を輝かせ、残り少ない今年を良い形で締め括ろうと頑張っている人々を目にするディセンバーは好きなんだよな。それに、俺にとってディセンバーはもう一つ特別な意味を持っている。それは、俺を産んでくれたおふくろの誕生日が12月26日なんだな。今年で74になっちまった。親父を早くに亡くしちまった俺はおふくろが親父の分まで長生きしてくれているのを有り難いと思っている。おふくろくらいの歳の人には疾患から身体に支障をきたし辛い人生を歩んでいる人を俺は多く知っている。幸いおふくろは身の回りの事など自分で何でも出来るし車の運転もしている。人間は年老いると童心に戻るような気がする。おふくろは天然でチャーミングな人だ。そんなおふくろがとてもいじらしくて愛おしく感じるけれどもよ、その天然ボケがどこまでが天然でどこからが老化から来ているのか判別に悩む時がある。物忘れも多くなったし車の運転も不安になる。バカ息子の俺もおふくろは心臓を昔患っているので心配は多い。でも、こうやっておふくろがまた一年無事に過ごしてくれたという証明のおふくろの誕生日を祝う事が出来るのは俺にとって何よりの記念日になるのである。クリスマスが終わり人々は1年を滞りなく締め括ろうと奔走して、カウントダウンに向けてまた来年も素晴らしい年になるように願う。俺もまた来年の12月26日を元気なおふくろと迎えられるようにただ願う。この日が後10年、15年続いてくれたらいいなと…

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