表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/108

第8話 威圧だけでもげそうになる

次の日。ベットで起きてもまだほっぺがひりひりと痛かった。

アベルもカインもきっと痛い思いをしてると思う。


「起きとるかハク」

「ああ。今起きたとこ」

「改めてみても酷い怪我」

「自業自得じゃろうて」

「そうだな。反省はしてるけど後悔はしてない」

「させてやろうかの?」

「ごめんって」

「女子の裸を見ていいのは妾だけじゃ」


女性冒険者にぼこぼこにされた後に言われたからよーく覚えてるよ。


「今日は家を見に行くで合ってたかしら?」

「ああ。そのつもり」

「それじゃあ行こうかの」


あの大騒動を受けても反応が冷たくならないのはとてもありがたい。

2人の優しさなんだろうな。めっちゃ温かい。


「どんな家を買うつもりなの?」

「出来ればこじんまりとしてる方がいいな。住むのは3人だしそんな広さいらないだろ?」

「広い方が色んなプレイが......」

「うし。狭い方だな」


本来なら冒険者ギルドに行くところを俺たちはアルフレット家を尋ねた。


「てなわけで、空いている家屋はないかと聞きに来た。正直物置でも人が住める部屋さえあればいいんだが」

「お前ら。オレを通してからにしろ」

「オニス。ありがとう。彼らは恩人だからね。僕は構わないよ。リンカも今は訓練でいないしね」

「ふふん。やっとわたしが勇者だって信じたの?おそいわね」

「家の相談だったね。それならあるよ。流石にギルド近くのものは使用中だけど中心地の外れの方にならね」

「今日から使えるのかや?」

「掃除をしなきゃ使えないかもね。使用人を何人か行かせるから頑張ってよ」

「ありがとう」


やはり貴族様は違うぜ。街の中にいくつも家をもってやがった。


渡された地図をもとに歩くと一軒の屋敷が見えてきた。

大きさとしてはアルフレット家母屋とそう大差はない。ただ少し。ほんの少し利便性が悪いということだけだ。ただ普通の冒険者であるならば気にならない程度だ。


「本当にここであってるよな?」

「ここか。魔王城と比べたら小さいし狭いが見た目はいいの」

「入ってすぐ玉座の魔王城よりマシな建物なんてたくさんあるだろ」

「なにを!玉座の奥にはちゃんと寝室があるわい!そこで姫様と毎晩一緒に寝てたんじゃよ」


そうなると一つ気になることが。


「まさか姫様の純潔は散らしてないだろうな」

「どうじゃろうなー」

「よし。キリ、離れてろ。今すぐぶった斬ってやる!」

「よかろう。昨日の続きと行こうかの!」


お互いに戦闘態勢に入った。


「はいはいストップ!これから住むっていう家の前で暴れないでよ。その姫様が処女かなんて見つけて本人に聞けばいいでしょ」

「ハクになんぞ散らさせやしないがの!」

「言ってろ変態魔王が!絶対に惚れさせてやる」


そのためにも早く姫様を見つけなければならない。

戦闘態勢を解除し屋敷に入るとやはり埃くさかった。


「確かに三人じゃ大変だな。玄関がほどほどに綺麗ってことはメイドは先に来てるのか」

「このままなにもしなかったら全部メイドがやってくれるんじゃない?」

「俺たちが住むのに全部やってもらうのは悪いだろうが」

「そうかや?」

「そう?」

「だーめだこいつら」


やってもらうことが前提になってやがる。

魔王はともかくキリはどんな生活を送ってきたらそんな自信過剰なだけのクソ雑魚が出来上がるのか。


「ま、なんでもいいや。掃除するぞ」


手始めにまだ掃除されていない区画の一部屋を開けた。

さっきより埃の臭いが強く、長居はしたくない。


「よし、濡れた雑巾で埃をからめとるぞ」

「妾窓やりたい」

「子供かよ。といっても上まで届かないだろ。飛べるのか?」

「無理じゃ。だからキリ、妾を持ち上げてたも」

「無理よ。わたしそこまで力ないもん。ハクがやればいいじゃない」

「キリのおっぱいに座りたい」

「素直でよろしい。キリ、試しに持ち上げてみてくれ」

「持ち上んないと思うけど」


キリがそう言いながら魔王を持ち上げると空の木箱を持ち上げているかのように違和感なく持ち上がった。


「どうだ?」

「え、ルネって体重ないの?持ってる感じがしない」

「身体強化の魔法だ。だいたい5倍程度に引き上げてる。これで満足か魔王」

「うむ!昨日の失態は水に流そうではないか!」

「まだ怒ってたのか」

「当たり前じゃ。いつちんちん引きちぎろうか考えておったわ」

「そこは出来れば満面の笑みで冗談で言って欲しい」


そんな真顔で目を真っ黒にして言わないで欲しい。

その威圧だけでもげそうになるから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ