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第4話 蜘蛛の命が危ない

「なんじゃその縛り方は!」

「なに言ってんだおまえ」

「蜘蛛なら魔族の妾が失禁するくらいにエッチな縛り方をせい!」

「ちょっとその地獄絵図は勘弁」

「亀甲縛りとかパンツ諸見えの縛り方とか!なんなら粘液で服を融かしても構わん!キリの綺麗な肌に傷さえつけなければいいというのに!なんじゃその手足を縛っただけの詰まらん縛り方は!なっとらん!」

「なっとらんのはお前の頭じゃ馬鹿野郎!」


なにを言い出すかと思えば。


「亀甲縛りくらいしてみよ!さぁ!」

「やめなって。困ってるじゃん。明らかに困惑してるじゃん」

「ただし傷付けたらその体が木端微塵に吹き飛ぶと思え」

「やって欲しいなら脅すな」


怖がって手というか触手が震えちゃってるじゃん。

キリも大人しくしてないで暴れたり自分で拘束を解こうっていう意志を見せろ。


「無理ならゆっくり落としていいぞ。俺達は帰るから」

「馬鹿言え!亀甲縛りって難しいのだぞ!相手の体に跡が付く程度に締め付けるのは勿論、痛くないように締め付けることもせねばならん!ハクにこんな素晴らしい技が出来るか!?」

「出来ないしやろうとも思わない」


そんな特殊な性癖を持っているのは魔王だけだと信じたい。

きっと魔族の王として君臨した時間が長くてストレスで性癖が歪んでしまったのだろう。


「んあっ!」


上から夜になると聞こえる甘い声が聞こえ視線を向けると見事に亀甲縛りをされたキリの姿があった。

敵ながらお疲れ様。


「うむ。至高」

「そうかよかったねー。さ、キリを下ろしてあげよう。蜘蛛の命が危ない」


亀甲縛りにされたままキリはゆっくりと下ろされた。

おーすっごい丁寧。ちゃんと地面に足がついたことを確認して糸引き上げたし。


「お疲れ」

「キシュ.....」

「ほら。帰るぞ」

「うむ。満足じゃ。たまの夜に来るとしよう」


蜘蛛くん可哀そう。


「待ってお宝見つけてない!」

「ないだろ。この蜘蛛が冒険者を食うんで、なにかを守ってるのかもしれないと思った冒険者が付けた後付けの話だったんだろうぜ」

「本当にないの?」

「どうなんじゃ」

「やめなって首振ってるじゃん」

「でもこれだけ巨大な蜘蛛の素材ってかなり高く売れるわよね?」

「よし、殺すとするかの」

「野蛮人が」


ま、これが本来の魔王であるべきなんだけども。散々亀甲縛りとか要求した挙句殺される蜘蛛くんの気持ちにもなってみろ。



「あ、なんか下りてきた」

「なにこれ。箱?」


蜘蛛の糸に吊るされて下りてきたのは小さな木箱だった。


「中身は?」

「ペンダントじゃな。紫色が綺麗な。贈り物かえ?」

「だとしたらなんでここに?」

「これ!わたしが求めていたもの!」

「うるっさ」


キリまで発狂しないでほしい。


「このペンダント!最上位貴族のアルフレット家のものよ!」

「貴族の落とし物か」

「落とし物の依頼でも受けていたのかえ?」

「そうじゃないけど!落とし物をしてそれを届けたら!お礼をくれるに決まってるじゃない!」


言われてみればそうかもしれないがそうとも限らないと思うけどな。そんな話は聞いたことがないし掲示板にもそれらしきものはなかった。

貴族が探すなら金を払ってでも探すだろうし......どうなんだろうな。


「とにかく!アルフレット家に行ってみましょう!」

「ありがとな。こんなお宝貰って」

「死なずに済んだの」

「二人とも早く!遅い!」


蜘蛛くんに別れを告げ俺たちは一旦街に戻ることにした。



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