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第2話 うわ、幼女コワイ

「今からクエストに行くけど、2人とも赤いものはおいていってね?」

「なんで」

「クエスト対象のモンスターが赤色に反応するから。赤い物を身に着けてたら攻撃に意志関係なく突っ込んでくるから」

「妾のマントは平気かや?」

「ルネのは平気。ま、赤さえ身につけなきゃ平気だから」


という話をしたあとに、俺の実力を確かめるために平野まで来た。

オルクルの街に行くまでにも通った平野。特に大きな障害物もなく見晴らしもいい。

モンスターがいなければ昼寝したい。


「さぁ!ハク!やっちゃいなさい!」


遠くから辛うじて聞こえる声でキリが叫んだ。

目の前には岩のような巨体を誇るイノシシがいた。森で出会ったウリ坊の親だろうか。


「ふごふご」

「でかーい。肉結構取れそうだな」

「ふがぁぁぁぁぁ!」


大きな牙を持ち上げそのまままっすぐに突っ込んできた。巨体のわりには速度は出ているがまだ遅い。

俺が躱したから止まるかと思ったがイノシシはそのまま全速前進。

その理由はすぐに分かった。


「なんでわたしを狙うの!なんで!」

「キリ。今すぐ禿げろ」

「なんでこの状況で罵倒されなきゃいけないの!こいつを早く止めて!」

「なにに反応したんじゃ?」

「キリの赤髪だろ。森じゃ分からなかったが日の下じゃ結構目立つなー」


キリの赤髪は俺の赤目よりだいぶ目立つ。

自分で目立つものは控えろって言ったのに。ちゃんと隠すなり切るなりしないから。


「早う助け!」

「分かったよ」


勇者なら耐えるなり回避すればいいものを。丁寧にまっすぐ逃げやがって。

ま、イノシシから逃げられるそのスキルは見事だが。


「キリ。伏せろ」

「うぎゃあ!」


カエルが潰れたような声でキリが顔面から地面にスライディング。

自分を「女の子」と自称していながらカエルになったり土まみれになる自称可愛い女の子。


「ちょっと!危ないじゃない!斬るならわたしが追いかけられる前に斬りなさいよ!」

「だったらその髪切れよ」

「無茶言わないでよ!髪は女の命なんだから!」

「その命が土だらけだが?」

「誰のせいだと思ってんのよ!」


赤に興奮すると分かっていながらこのクエストを受注した人が悪い。


「でもこれで俺の実力が分かっただろ?」

「ふん!これくらいならわたしも出来るもん!」

「そういう夢を見たのか。そうかそうか」

「違う!本当に出来るもん!」

「なら俺たちを囲む狼も一掃できるな」

「うえ!なんで!」

「血の匂いに寄って来たんだろうよ。ほら、さっさと立たないと食われるぞ」

「無理無理無理!怖いんですけど!ねぇ!ハク助けて!」

「馬鹿!飛びつくな!重い!邪魔で剣が振れないだろうが!」


俺たちがわちゃわちゃしている間にも狼達はじりじりと距離を詰めてくる。

数としては多くはないものの、キリを抱えて剣がキリに当たらないように攻撃というのはほぼ不可能。

つまり、キリが凄く邪魔ということだ。


「グルルゥ......ガウ!」

「まずい!」


俺が回避しようと体を動かす前に狼たちがまたもや内側から爆発した。

爆破魔の方を見ると眉間に皺をよせ、俺をきつく睨みつけていた。


「ハク?なにをしておる?死ぬかえ?」

「ちゃんと見てた?俺は悪くないぞ。キリが勝手に!」

『我は始祖の魔王なり......』

「その詠唱は良くない!凄くよくない!街諸とも吹き飛ばす気か!そうなったら魔王が言ってた天国も消えるぞ!」

「......次はないぞ」

「うす」


この幼女怖い。

そりゃね、街で男と女が一緒にいただけで男のちんこを潰そうとする幼女だ。

一番のお気に入りであるキリが取られたら怒るよな。でもあの魔法は人に対して撃つものではない。


「出来るんじゃなかったのかよ!もういないから降りろ!」

「ほんと?」

「ああ。俺が死ぬ前に出来れば降りて欲しい」


キリがくっついている間、俺の命はごりごりと削られているんだ。


「怖いものはしかたないじゃない」

「勇者じゃないのかよ」

「そうよ。神、ガルド様から選ばれし勇者よ!」

「選ばれ死勇者か。流石」

「でしょー!でも勇者も元は人間」

「今も人間では?」

「元が人間なら怖いものの一つや二つあってもいいと思うのよ」

「程度が過ぎるのでは」

「つまり!まだ修行中ってことにして強くなればいいのよ!魔王討伐はまだ後でも大丈夫だし!」

「姫様捜索は」

「......そのうちやるわ!」


さては忘れてたな貴様。俺と魔王は姫様さえ見つかればとっとと帰るんだよ。

ここどこだか分からないけど。


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