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『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?   作者: mio
3章 冒険者養成校

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16


俺たちは迎えに来たラグア先生に続いて個室に入ると、途端にラグア先生が深くため息をついた。


「はー、お前ら活躍しすぎだ。

 初回から養成校に収める額達成するやつ初めて見たぞ?

 文句なしに売り上げ額ダントツだ」


 うんうん。俺たちはただ、言われた道に現れた魔獣を片っ端からやっつけていっただけだ。特に活躍した覚えはないんだが?


「あー、あー、無自覚か。

 全く、おかげで資源の確保が大変だったよ。

 初回はあんなばかすかできるもんじゃないんだよ、普通はな。

 それに魔石もちゃっかり出していやがる」


 ちゃっかりって……。魔石の発生は確かランダム。俺らだって狙って出せるものではないのだ。


「で、いくらだったんですか?」


「魔石だけで金貨3枚」


「……は!?」


「よかったな。

 それだけでお前らは返済完了だ。

 どころか前払いだってしている。

 それで、今後ダンジョンで得たものの話だが、自分たちの財にする、またはランク上げのためにギルドに入れるか、どちらも選べる」


 自分たちの財かランク上げ……。正直ここを出たら、皇国に向かう俺にはランクは関係ない。でも、二人は違うか。ちらりと二人の様子を見る。やっぱり悩んでいる。正直、お金はあって困ることはない。だから、どちらかというと手元に残したいが……。


「二人は、どうしたい?」


「うーーーん」


「ま、今すぐ答えなくてもいいし、毎回同じようにする必要もない。

 都度聞こうか」


「ありがとうございます」


「で。

 今回はいつも俺が売りに行っているチラジア商会に売りに行った。

 さっき説明あったと思うが、次にダンジョン行ったときはお前らで売ってもらう。 

 初めの方は俺が仲介するが、自分たちでもがんばれよ」


 うん、知らないな、その商会。まあ、とりあえず聞くだけ聞いてみよう。ダンジョン素材を買い取り、売ることが商会にとっての利益になるならば、ぜひサーグリア商会で売りたい。


「あの、他の商会で売ることできないんですか?」


「ほか?」


「はい。

 サーグリア商会が買い取ってくれると、そういってくれたんです」


「……は?

 サーグリア商会っていったか?」


「え、はい」


 なんでそんな驚いてるんだ? 俺がサーグリア商会に伝手があると、もともと知っている二人も俺と同じように不思議がっている。


「あそこは確かにダンジョン素材を取り扱えるが、実際に取り扱ったところを見たことがないぞ。

 そこが買い取るって?」


「はい。

 昔馴染みなんです」


 まさか今まで買い取ったことがないとは。その状態でよく買い取るよ、と言ってくれたものだ。なんかラグア先生、そうかよ、とか投げやりに言っている。


「まあ、それでも最初の方は一緒に行くよ。

 一応こっちにも監督責任があるからな」


「ありがとうございます」


「それにしても、天才って本当にいるんだな……」


 それは一体どういう意味だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやー、最初からお金もらえるとは思わなかった!」


「そうだね。

 最初金貨一枚って言われた時、無理だろと思ったんだけれど……」


「ほんと、運がよかったよね。

 ああ、初めて自分で稼いだ金だ!」


 そういって、銀貨一枚を手に持ち目をきらめかせているのがフェリラ。今回はひとまず余剰分のお金をもらうことにしたのだ。それが銀貨2枚と銅貨15枚。予想以上にもらえた。なるほど、確かにダンジョンに行きたがるわけだ。それに売り上げの一部は王室に献上するみたいだし、国としてもダンジョンにはぜひ参加してほしいのだろう。


「ねえ、何を買う!?」


「フェリラの好きなものでいいよ」


「うん。

 俺は特にほしいものないし」


「本当にいいの!?

 あたし、ずっとケーキっていうの食べてみたかったんだ」


「いいよ、買ってきなよ」


「ありがとう!」


 フェリラを見ていると和む。俺たちに出会う前、いろいろと強いられてきたはずなのに、純粋な心が残っていて。まぶしく感じる。隣を見るとリキートもそんな顔をしていて。まあ、貴族も闇深そうだもんな。


「三つ買ってきたよ!」


 店に入っていった時と同じ笑顔のまま、フェリラがおそらくケーキが三つ入った箱を掲げる。その時、横からやってきた何かにフェリラが捕まった。


「何!?」


 あいつは……。確か俺たちに絡んできたやつ?


「ガルシオン……」



 そう、そんな名前。また性懲りもなく絡んできたのか? って呆れたいがあれはまずい……。フェリラは、たぶん対抗できない。下手に動けない状況に血の気が引いていくのを感じる。


「フェリラができるのって、弓くらいだよな」


「うん。

 体術はたぶんできない」


 今、ガルシオンのやつはフェリラの首に刃物を突き付けている。それさえなければ今すぐ助けることができるんだが……。って、なんでリキートは少し驚いた顔を?


「お、お前らのせいで!

 お前らのせいで!」


「なんのことかわかる?」


「いや全く。

 そもそも最近はギルド本部に全く顔出していないし」


「だよね」


 面倒な。さっきからずっと何かを叫んでいる。フェリラはすっかり顔が真っ青だ……。どうする。


『正直、私たちが何をしようとしても、相手にためらいがないならば、相手の方が早いです。

 誰か意識外にいる人間が、一度意識をそらしてくれないと……』


(……シャリラント、確か実体化できたな?)


『ああ、なるほど。 

 いつも以上に魔力いただきますよ?』


(ああ、それでいい。

 見えない状態のまま近くに行って、気をそらしてくれ)


『わかりました』


「ど、どうしよう、ハール」


「そのまま動かないでいて。

 今、シャリラントが意識をこちらからそらそうとしてくれている。

 その間に奪い返そう」


「シャリ……、あ、ああ。

 わかった」


 行きます、と言った後、シャリラントが男の後ろに回ってくれる。そして姿を実体化して肩を叩く。そのまま気絶させてくれてもいいが、それでフェリラが傷つく可能性もある。


「ひぃ、お、おまえ何なんだ!」


 よし、今だ。


 一気に近づき、腹を蹴る。根性があるのか何なのか、それでもフェリラを離さずに一緒に倒れていく。腕を叩いて、刃物を地面に落とし、なおかつフェリラをつかむ。


 よかった、なんとか無事にフェリラを奪還できた。シャリラントはいつの間にか、また姿を消し、リキートが男を捕まえてくれた。これで一件落着だろう。


「はー、ハール!」


「大丈夫か?」


「あ、あたしは、大丈夫。

 ハール、腕!」


 言われてみてみると、確かに腕から血が流れている。一体どこで負ったのか。まあ、かすり傷だ。実際もうすぐ止まるだろう。


「だめだよ!」


 とにかくフェリラを寮に送ろう、そう思ったのだが、腕を引かれて動けない。なんだ?


「癒しの光よ、ハールの傷を治して!」


 言葉とともに腕に光がともる。フェリラが治癒をするときに出る光だ。言葉を共に言うということを学んだからか、以前よりも強くなっている気がする。すぐに傷が治った。


「ありがとう」

 

「ううん。

 あたし、これくらいしかできないから」


「そんなことない。

 最近は弓だってだいぶ上達しただろ?」

 

「でも、まだまだお荷物だ」


 大丈夫、そういって頭をなでてやる。フェリラは涙で顔をぐちゃぐちゃにしていたが、特にそれに抵抗することはなかった。


「あれ、もう終わっている?」


 ふいに聞こえてきた声。この声、聴いたことがある?


「刃物もったやつが女の子脅してるって聞いたんだけど……。

 って、君たち!」


 声の方を見ると、そこにいたのはキリク先生。騒ぎを聞きつけて、こうして様子を見に来てくれたらしい。この後のことは任せていい、と言ってくれたキリク先生にお任せして、俺たちはフェリラを連れて寮へと戻っていった。そして、一緒にフェリラが買ってきてくれたケーキを食べた。少し崩れてしまったが、十分おいしかった。


 後日聞いた話ではあの男は俺たちに突っかかったことが原因で、パーティを外されたらしく、だいぶ厳しい生活を強いられていたようだ。その逆恨みで俺たちを襲った、と。もう二度と俺たちにかかわれないように、罰を与えられたらしい。

 

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