真っ白い世界
ちらちらと、雪が降ってきた。
とはいっても、いつものことだったので、誰も気にもとめなかった。
真っ白い、真っ白い世界だった。
降り続いて降り続いて、
やがて建物の三階くらいは雪で埋まったころ、ようやく世界は大混乱していた。
世界中の人が、異常気象だなんだと騒いだけれど、たった一人だけは動じなかった。
そんなもんか、と思った。
世界の終わりは、そんなもんだった。
世界中に何故か降り注いだ真っ白な雪は、
いろいろな建物の五階くらいまでは覆ったし、
報道陣も全員死んでいた。
社会がすべて埋まって、とても綺麗だった。
やがて世界が真っ白で殆ど何も見えなくなったとき、最後の一人は最期に呟いた。
『こんなもんかぁ』と。
そうして、その口すら雪に覆われて、
とうとう何も見えなくなった。
あっという間の、世界の終わりだった。
終わりはいつだって突然、来るのであった。