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私/俺の物語  作者: 古前 包平
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眷属の儀 後編

母上起動、死亡フラグ起立。


前世の記憶上、神話でも伝承でも神の血が混ざってる人物達はど

いつもこいつもろくな死に方をしていなかった気がする。

死後に神様とドッキングしたり新しく神様になったり、星座になったりはしてたけど。



平穏に終わるはずだった朝食の席にて、衝撃の事実が発覚したことにより゛眷属の儀゛のことなんて私の頭の中から吹っ飛んだが、何も知らない母上は私が内心茫然自失状態になってる間に(もちろん仏頂面が変わることは無かった)食器を片付け何処からか大きな羅針盤の様な器具を持ってきた。

少し古ぼけた印象は受けるが、滑らかな銀と円盤を飾る紫の蔦模様はシンプルだからこそ美しい。

円盤の中には本来文字が書き記されている場所には上半分には赤→緑→黄とグラデーションに彩られており、下半分には白→青→黒と色彩は違うが上半分と同じようになっている。

指針は本来の半分程で時計の長針と似ている。円盤の真ん中には小指程の窪みがあり、よく見ると窪みから細い線状の淵が羅針盤の輪郭に沿うように広がっている。


「…母上、コレは?」


「主神盤よ。この中心部の窪みに貴方の血を垂らして針を動かすのよ。」


少し痛いわよ、と軽く一言私に声をかけた母上は主神盤と一緒に持ってきていたのか小さな試験管と似たような硝子の筒を片手に持ち、もう片手には持ち手に青い鉱物のついた短刀を握ってた。

おいばかいつのまに!絶対少しじゃないだろ!痛いだろそれェ!!


サクッ


キィエエエエエ!!サクッていったぞ!今サクッていったぞ!!切れ味良すぎない?おかしくない?効果音おかしくない??私の人差し指くっついてる?ちゃんとくっついてるぅ!?


しばらくして必要な分血液が溜まったのか筒を私の人差し指から離し、まだ血がダラダラ出てる切り傷に母上が手をかざせばあら不思議!傷一つない元通りの指が!!

すごいよなあ、私も早くスキルロック解けて魔法とか使ってみたい。


硝子の筒から中心の窪みへ赤が流れる。

窪みに流れた赤は刻まれた淵を通り綺麗な円形を描いた。

主神盤が赤く色付き長針が軋む音一つ立てずに進む。



指し示した色は黒


濁りのない純真な黒だった



うわあ、真っ黒じゃん。元日本人としては馴染みのある色だけどいくら何でも黒すぎない?光に透かしたって光を通さない黒さだよ。


「……イリアース、お部屋の鏡で見てみましょう?純度の高い艶やかな黒色よ。」


にこり、と笑った母上は私の髪をひと房指に絡めて髪色を見ようと勧めてきた。


ん?純度?色に純度とかあるのか?赤、緑、黄、白、青、黒の6色しか無いんじゃないの?純度が高ければ色が濃くなるとかそんなかな?


コクリと体は頷いて自分の部屋へ。


母上は主神盤をテーブルの端に除けて布を被せて私の後へ続いた。なんだろ?血が酸化しないようにかな?







だから二人共気づかなかったのだろう。

もう1度主神盤が赤く発光し、黒から青へ針が動いたのを……。












うおおお!スゲェ、まじで真っ黒だ!!

鏡に映ったのは白ではなく黒。仏頂面は相変わらずだが髪色が変わるだけで随分と雰囲気が変わるもんだな。

なんつーの?この年でラスボス感がすごい。黒に紫ってカッコイイけどさ!


「かっこいいわよ。これで髪色が純度の高い白色だったら父上そっくりだったわよ。」


私の頭に手を置きながら懐かしむように母上は鏡の私を見る。

へぇ、父上白だったんだ。純度の高いっていうことは銀髪とかかな?私の顔で仏頂面じゃなくて銀の髪に紫の瞳って……只の貴公子じゃね?父上で想像すると勇者とか、貴公子って言葉が頭を過ぎるのになんで息子の私はラスボスって言葉が過ぎるのだろう。おかしくね?仏頂面?やっぱり仏頂面がいけないの?この世界は私にもう少し優しくしてくれてもいいと思うんだよね!!ばーか!ばーか!!





一通りじっくり見た後に母上から行かなければいけない所があるからと言われ、絶賛海上歩行中だ。

いっつもダイブしてる水の上だ。魔力で道を作れば沈まないんだと。できれば最初に教えて欲しかったよ母上ェ。海の中にいるアイツらは水中からは出られないらしい。ざまあ。



それにしてもかれこれ30分程はジャケットのポッケに手を突っ込んだまま歩いている気がする。どこに向かってんだろ。ここら辺何もないし、あるとしたらずっと遠くに見える山だか丘だかのシルエットくらいだ。

なぁんて、思いながら歩いてたのがいけなかったんだろうなあ!!


「イリアース、これが母上の本体なの。少し普通の精霊族より力が強いから大きいけれど。」


恥ずかしがるかのようにうっすら頬を染めた母上を横目で見ながら上を見上げるとソコには馬鹿でかい顔があった。


ファッ!?!?!?え?デカ…デカぁ!?

なんか碧色の線がところどころ肌に這ってるけど母上そっくりやん。

目を凝らしてステータスを見ればティアソール(本体︰休眠)の文字。

本体……本体、本体ィ!?じゃあなにか、コレが海神かいしんティアソールなの!?なんだってこんな所に…。

視線を顔から横にずらせば肌色ばっかであんまりよく分かんないが、肩っぽいのが上を向いているのが見えたから横になって寝てるんだろうか。

きっとこれだけデカイんだから遠くから見れば一つのなだらかな丘に見えるは…ず………………。遠くに見えてた山だか丘は本体の体だったのね…。絶対にここ幽世かくりよじゃねーだろ。

ちゃかり生えてる角やらウネウネしてる蛇みたいな物は見ないことにする。認めないぞ!断じて認めないからな!母上がキメラもどきなんて!!綺麗だけどね!!!あとおっぱいおっきいです。


「そろそろ貴方も゛受胎の海゛にいる雑魚達じゃあ物足りないでしょう?だから次はははうえと鍛錬しましょうね?」


そう言い残して母上はふわって消えた。








えっ




慌てて周りを見ればバッチリとかち合う碧の巨大な瞳…。運命かな?ステータスを見ればティアソールの文字。さっきまで付いてた休眠の文字が消えてる。






海神かいしんティアソールが起きたということだ。






あかん、これ、死んだわ。





視界にいきなり飛びこんできた無数のレーザーを見ながらそう本気でおもった。



海神かいしんティアソール

母上。ずっとレムレムしてた。人型端末が戻ってきたのでイリアースが自分の息子だと分かる。ちゃんと強くならないとこの先生きていけないからスパルタでいくね。


父上

銀の髪に紫の瞳。イリアースにそっくりな顔だったけど仏頂面ではなかった。ティアソールにだけはよく笑い顔を見せていた。イリアースが使った主神盤は元は父上の私物だったりする。


イリアース

生きろ、そなたはうつくしい。

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