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私/俺の物語  作者: 古前 包平
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眷属の儀 前編

衝撃の事実がイリアースを襲うッッッッ!!


なんかキラキラした槍を出してから三年ほど経ちイリアース君もとい、私はめでたく10才になりましたー!三年か……本当に良く生き残ったよ私…。

綺麗な槍だなーとか、私の魂が具現化した武器って槍だったんだなあとか思って見つめてたら、少し離れたところにいた母上から名前を呼ばれ、宙に浮いたままだった槍を掴んで近づけばあれよあれよと訳の分からぬまま体を持ち上げられ、芝生の外から出され見渡す限りの青い液体(後々分かったことだが゛受胎の海゛という場所らしい)の中に落とされ、液体の中にいた大量の敵と戦うことになった。

どいつもこいつも冗談のようにレベル高いわ、強いわ怖いわで内心泣きべそかきながら槍を振るう毎日が始まった。もちろん表面上は表情なんて最初に落とされた時に僅かに目を見開いた程度で、なんでもないかのようにバッサバッサ敵を倒していた。

幸いだったのが液体の中でも呼吸は普通にできるし、体は私の意志とは関係なしに動いてくれるから死ぬことや、命に関わる大怪我も負うことはなかった。ただ、相変わらずスキル系統全てにかかっているロックが外れないのが恐ろしい。これ本当に解けるよね?

魔力操作はどのスキルにも属さないようでソレを応用して、魔力を無数の剣に変えて相手に飛ばしたり、突き刺したり、貼り付けにしたり、刻んだり、地面から(海底?)から生やして串刺しにしたり、いろいろ試行錯誤しながらこの三年間生き抜いてきた。

槍の他にもいろいろ創りたかったが母上から槍の使い方をマスターするまでは他の武器を創ることは禁止されていた為、朝イチで海の中に入り敵を倒して昼ご飯を食べるために家に戻り、また食べ終わったら夜まで海の中で槍を振るうというストイックすぎる毎日だった。

お陰でレベルは上がったけどさあ!!母上がスパルタすぎてツラい。誰だよ最初に聖母とか勝ち組とか言ったヤツ…私だよ馬鹿野郎!

ちなみに゛受胎の海゛にいた敵は全て゛穢れた精霊族゛やら、゛穢れた天使族゛といった風に名称の頭に゛穢れた~゛と付いていた。汚れてるから海の中で汚れを落として綺麗になったら出てくるんだろうか?

今日海の中に入ったら洗濯機の様に海中で回してやろうな…最初ボコられたし……。あんまり痛くなかったというか、痛覚が麻痺してんのかと思うくらい痛く無かったけどバッサリ切られた左肩の怨みは忘れんぞ……!!激痛が襲ってると思ってビビったんだからな!!痛く無かったけど!!!







そろそろ起きないと母上が起こしに来る時間になってしまう。布団は温いが着替えてリビングに行かなくては…。

私達が住んでいる幽世かくりよの゛最下層真淵さいかそうしんえん ゛なる所は四季がない。太陽が無いためか一年中薄ら寒い。おかげで半袖なんて1度も来たことはないし、せいぜい三年前に時々履いてた短パンが限界だ。今は履いてないからな。

海の中は若干温かい気もしなくはない。



いそいそとシングルベッドの向かい側に置いてあるクローゼットの中から白の長袖の詰め襟シャツに黒のスラック、上に羽織る腰までのジャケットを手に持って鏡で変なところが無いチェックしてリビングに向かう。

鏡には三年前より身長が伸び、耳元まである少し癖のある毛先だけ黒い白頭に父上譲りだという褐色に似た肌と紫の瞳、この三年で見飽きた仏頂面の美少年だ。

そういえば最近まで気にする余裕が無かったが、お店も植物も何も無い此処でどうやって食事の材料や服を手に入れてるんだろう?今度聞いてみるか…聞けるか分からんが。

既に三年経ってるのに未だに改善しない不具合と制限にはもう諦めは付いている。…若干遠い目をしたくなる時もあるが




リビングに続く扉を開ければふわりと香ってくる食欲をそそる匂い。今日はパンケーキかな。鼻腔を擽る匂いで朝食のアタリをつけ、挨拶と朝食を運のを手伝う為に母上の横に並ぶ。


「…おはよう。お皿はもう運べるのか?」


「おはようイリアース。今日もかわいいわ!丁度盛り付けも終わったから運んでくれるかしら?」


私の方を振り返りパアと顔を綻ばせた母上は何年経ってもかわいい。

チラリと見たプレートにはこんがりと綺麗な焼き色がついたホットケーキとスクランブルエッグに、ソーセージ3本。ちなみに名称は分からないままだ。






もくもくといつものように朝食を食べ終わり紅茶で一息ついたら今日も海の中にダイブしてレベル上げだ。

そろそろレベルも上がらなくなり、貰える経験値も微々たるものになってきてる。なんか前世のゲームで雑魚を永遠に倒し続けてレベルを上げてた頃を思い出す。

母上がいれてくれたレモンティーを口に運びながら先の事に考えを巡らす。絶対に10才の子が考えることじゃないよなあ…前世で私が10の頃なんて男の子と一緒に木の棒を振り回して遊んでたぞ…あれ?やってることたいしてかわってない?一緒にやる子は居ないし、木の棒が槍に変わってるけど内容はほぼほぼ一緒じゃん、嘘だろ…。


「今日は海に潜らなくていいわよ。」


「どうして?」


突然のカミングアウト!え、マジか。今日海に行かなくていいの?いやったあー!今まで1日も休ませてくれなかったのにいきなりどうした母上。嬉しいけど少し怖い。


「貴方も数えて10才になったから゛眷属の儀゛をしなければならないのよ。」


「……゛眷属の儀゛?」


なんぞそれは。


「人間も私たち幽世かくりよのモノたちも1人1人゛根源゛というものを持っているの。その゛根源゛から一致する゛主神゛を決めて眷属にしてもらう決まり事を゛眷属の儀゛というのよ。例えば、゛根源゛が争いごとに特化していれば赤神せきしんアレウスの眷属に、サポートに特化していれば緑神りょくしんディアンの眷属に、どちらにも適性があれば黄神おうしんトライアの眷属に。黄神おうしんの眷属の子はとても少ないのよ?なかなか適性がでないから。」


赤神せきしんアレウスに緑神りょくしんディアン、黄神おうしんトライアねー、信号機かよ。綺麗に赤、緑、黄色って並ぶな。

アレウスはアレスに似てるしディアンは恐らくディアン・ケト、トライアは…なんだ?トライア、トライア……アストライアか!!なんか随分と前世の神様達に関係のありそうな名前だな。実は異世界転生とかじゃなくてどっかのゲームの中に転生してるんじゃないだろうな?それとも大昔に私と似たような地球出身の人がいたのか?んんんん、気になる!


「゛眷属の儀゛を通過することによって私たちは髪に色がつくのよ?」


髪に色?え、待って、待ってェ!?色!?色ってあのカラーの色!?私もう毛先が黒色に染まってるんですけど!?まだ゛眷属の儀゛もやってないんだけど、むしろ今からやる所なんだけどォ!?!

アレか?原因私か?私がinしたから黒くなっちゃったとか?ヤバくね?これヤバくね???


「色は眷属になった三神の色彩がでるのよ。赤神せきしんなら赤系統の色に、緑神りょくしんなら緑系統、黄神おうしんなら黄色の系統というようにね。」


エエエ、私黒!黒何ですけどォ!!


「……おれは何で色がついてるの?しかも黒色だ。母上も違う色だ。」


「そうね、貴方は生まれつき毛先が黒かったものね。別におかしなことではないのよ?゛眷属の儀゛を通さなくても三神の誰かから強い加護を受けていれば、うっすら毛先に色がつくこともあるのよ。」


貴方と母上の色は特別なのよ?お父様もね。

少し笑みを浮かべた母上は続ける。


「三神の他にもう三神いるの。あまり周りには知られていないし、どちらかというと悪い方に捉えられることも多いのだけれど、貴方と母上、それにお父様はもう三神の方の色彩なのよ。赤神せきしん緑神りょくしん黄神おうしん正神せいしんと呼ばれ、もう三神を逆神ぎゃくしんというの。」


あっ、良かった。私だけおかしいんじゃないのね。あー、焦った。家族揃ってマイナーな方なんだ。別に悪い方でも何でもいいや。私だけ異常っていう結果にならなきゃいいからね!


海神かいしんティアソール、地神ちしんアプスール、混神こんしんウプウアート、それぞれ青、白、黒系統の色がつくわ。母上は海神かいしんの眷属で、イリアースは混神こんしんの強い加護をもっているの。」


ほーん、なんか逆神ぎゃくしんの方が正神せいしんよりつよそうだな。前世の神話的に。

混神こんしんのウプウアートは分からんが、アプスールはアプスー、ティアソールはティアマ…ト…………あれ?母上の名前ってティアソールじゃなかったっけ?

恐る恐る母上のステータスを見れば個体名の欄にティアソールとしっかり見える。

……まじで?え、ホントに?母上マジもんの神様だったりするの?それじゃあ名前の横にずっとある(人型端末)って分身みたいなものだったりする?精霊族︰神格って文字通りの格が神様ってことなの?





私は神様と人間との間の子供ってことなんですか父上ェ……!






頭を抱えたくなった瞬間だった。


母上

実は神様だった。名前が分からなければバレるわけが無かったがステータスが見えるイリアースには関係なかった。人型端末ということは本体があったりする。


父上

神様を孕ませてた。でも本人知らなかったりする。


イリアース

今回最大の流れ弾食らった人。ずっとなんだろうなあとおもっていた謎が一気に解けた。すっきりしたけどそれ以上に衝撃が強すぎた。神と人の子。じゃあ、私の獸格じゅうかくってなんだ。謎が増えた。

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