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私/俺の物語  作者: 古前 包平
3/6

私/ぼくの欠片

初めてのお外とママの独白


おい、おい……嘘だろ。なにこれェ!?


小さなレンガ造りの一軒家の周りを囲むように生えている半径5m程の青々とした芝生の空間を除けば、広がるのは見渡す限りの青。遠くの方に山だか、丘みたいなシルエットが見えるがこの距離からじゃわからん。

空を見上げれば当然あるものだと信じて疑わなかった太陽はなく、空を覆い尽くす程の乱立した水晶。今は青空のように薄青く発光している。多分コレが時間と共に色を変化させて周囲を照らしていたのだろう。

内心口をあんぐり開けてあほ面晒していると、すたすたと中心に向かって母上が深い青をなびかせて歩いていく。

当然私の体もつられるように1歩を踏み出した。




「ここら辺なら十分な広さね!イリアース、早速やってみましょう!」


まって……待って(はーと)

どういう事なの?説明は?周りの水っぽい青色の液体は?空を覆い尽くしている水晶は?遠くに見える山だか、丘はナニ?イリアースまったくついていけてないんだけどォ!!!そもそもココはどこなの?お空が見えないって事は地上じゃないよね?いくら幽世かくりよって場所でもお空とかはあるよね?同族の精霊族の皆さんはいるはずだよね?ご近所さんは?私のお友達候補の皆さんは??もしかしてぼっち?この年でぼっち確定フラグなの??もっと世界はイリアース君に優しくしてくれていいのよ???


「本当なら人間の共鳴者リンカーの望む武器が、本来の魂のカタチなのだけれど貴方の場合は従来のやり方じゃあ具現化できないのよねえ、たぶん。」


おい今たぶんって言った?自信満々に魂の具現化に挑戦するとか言っといてフワフワなの?やり方フワフワなの??確かに共鳴者リンカーいないけどさあ!!


「とにかく自分の魂の一部を外に出す感じでやってみましょう?」


もうやだこの母上。


魂の一部を外に出すってどんな感じだよ。

そもそも魂ってどんなカタチしてんの?丸?良くあるアニメとかのふよふよした光る玉とかでいいの?その玉を少し引きちぎればいいの?

っしゃあオラ!出ろ!玉ァ!!!










まあ、出るわけがなかった。

そもそも体がなんのモーションも起こしてないからね!口元に手を当てて考え込む様なイリアース君とか少し背伸びしてるようで絶対可愛いだろ!ちらりと見える母上なんてまた天を仰いでるんだぞ!!水晶で埋め尽くされたお空だけどな!!!

なんだ?勢いか?勢いが足りないのか?

バズーカとか?大砲?思っいっきり飛ばせるようなイメージが必要なの?でもバズーカも大砲も自分の魂(一部)を入れるとか怖すぎだろ。放たれた瞬間に木っ端微塵になるわ!

こう、もうちょっとソフトで手頃な感じのモノってないの?ドォンじゃなくてパァンって効果音の付きそうなもの。







……………………あっ。











クラッカーや(確信)





イメージ出来たのなら話は早い。

そもそも私と同じハーフの知り合いもいないからやり方これで合ってんのかもわかんねーし、元人間の私がinしちゃってるから魂が人間3割、精霊2割とかになってて実はできないんですうとかなってるのかもしれないけど、ハイスペックなイリアース君ならできる!きっとお前ならできる!私(の身体)なら出来るぞォ!!

魂とか全然イメージ湧かねーからスーパーボウル程の大きさの丸に魂(一部)と書いてクラッカーの中に投入。え?適当?いいんだよ人間なんて誰しも適当に割と生きてんだよ。

キチンと蓋を閉じて……せぇのォ!!


思いっきり紐を引く!!!



顕現アクセス


軽く突き出した片手とホロリと零れ落ちた言葉トリガーと共に、バチリ、バチリと、稲妻いなずまのような蒼が私の周りで発生する。

蒼は私の周りを荒れ狂うように囲みどんどん勢いを増していく。

突き出した手の先の空間から徐々に蒼き燐光がナニかを形づくるように、螺旋を描きながら収束し……





確信を持って今度は言葉をつむぐ。




顕現アクセス






ソレは硝子の砕けるような音と共に顕れた。












槍だ


1本の槍だ


神聖でありながらどこか冒涜的で


静謐でありながら雄雄しい


穂先に向かって収束するかのように


穂先から柄へ拡散していくかのように


二重の螺旋を描く燐光は美しく


蒼穹と深淵で彩るその姿はなんとも


゛■■■゛に相応しい……





ティアソールまなこをもってしても明かせない燐光渦巻く蒼黒の槍……。

やはりこの子が、イリアースがそうだったのだ……゛■■■゛だったのだ。

なんという皮肉だろう。かつてアレほど憎悪し呪ったモノが、愛おしい愛おしい愛息子と共にある。

私からあの人を奪ったソレが愛息子の欠片だという。憎い、憎い、憎い、憎い……呪いを、゛■■■゛に決して消えぬ呪いを…そう思ってしまう私に゛格゛を持つ資格など無いのだろう。

1人の人間あのひとに肩入れし、心を乱され、あまつさえは愛おしいとい感情を育ててしまった私には…。

私も゛■■■゛も゛そのようであれ゛と願われ産み出されたものだ。本来ならば私がアレに憎悪を向けることがおかしいのだ。愛おしい息子イリアースと混ざりあっても憎まずにはいられない私が……。

嗚呼、だけれど愛し続けるのだろう私は。

いつかそのイリアースがこの身に突き立てられる日が来るとしても、あの子が゛■■■゛に飲み込まれて消えてしまうとも。

だって、あの子は私とあの人とのかわいい子なのだから。

いくら憎いと思っても天秤にかければ愛おしさに傾いてしまう。

゛母゛である私はそのようにカタチづくられたのだから。

あの子の終わりがくるその日まで私は愛をそそぐのだろう。


蒼い燐光を散らす槍を、吸い込まれたかの様に魅入る少し離れた息子を引き戻す為に私は言葉をこぼした。




私の愛おしいイリアースよ、と……



母上

識別個体名はティアソール。

旦那様を殺した゛■■■゛が大嫌い。呪われてあれ!!でも息子の方が可愛くて可愛くて仕方がない。


父上

゛■■■゛に殺されたらしい。ティアソールからめちゃくちゃ愛されてた。でも結婚してなかったりする。


゛■■■゛

母上からめっちゃ嫌われてるヤツ。

今回はイリアースと混じっちゃてる。母上は将来的にはイリアースが飲み込まれちゃうんだろうなあ~と思っているが元女子高校生がinしているたなめできなかったりする。本人の知らぬところでファインプーしてた。


イリアース

イリアース+元女子高校生だと思っていたのがまさかの+゛■■■゛も入ってて3人混ざってた。2人とも気づいてない。

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