【6話】合成屋探し
もしかしたら作者は一人称視点のことを書くのが苦手かもしれないです……(´・ω・`)
「ふぁあ………」
目覚めは、天井に広がる木製の天井と天井に吊られる深い蒼の色を放つ魔法灯が眼に映る。
「やっぱり、覚めないよなぁ」
目が覚めても現実には戻らなかったのに対し、少しの溜息を吐きながらもうれしく感じる。
まぁ、それとは別に現実と違って朝起きて早々に腰痛や二日酔いに悩まされないというのはとても素晴らしいことだと思うのだが。
ベッドから起きると、昨日から来たままの装備と衣服を脱ぎクローゼットの中へと入れる。入れられたアイテムはクローゼットの中へ入るとともに搔き消える。
当然、魔法道具の類だ。
「窓を開けてくれ」
クローゼット内に装備がしまわれるのを確認すると、突然窓へ向かって喋りかける。
だが、窓はその独り言に反応し自動的にカーテンを開け、続けて窓が開けられる。
この部屋にある魔法道具やアイテムのほとんどは自作であるため、その性能などは理解している。基本的にゲーム内では飾りなのだが、スキルを身につけてしまった故に作っておこうという日本人にありがちなクリエイト魂の産物だ。
今は短パン一丁でいるため、外を通った人から見られたら変な目で見られそうだが幸いにも窓を開けた方向には人はいない。
今日の目的は、昨日の魔法道具の効果の確認とこの世界の合成屋…つまりは魔道具、ポーションめぐりといってもいい。
来ていく服は鑑定スキルの強化が着く服である、手持ちの鑑定スキルの使用上誰かが製作したアイテムの鑑定も大雑把にはできるのだが、魔法道具に関してはこのゲームの運営曰く「未知のアイテムの効果を考えるのも醍醐味である」としているため、すでに知りえているアイテムもしくは自作アイテムしか効果を見ることができないようになっていた。
それにしても、今の所この世界では『Ω-オメガ-』の仕様と全く同じで色々な事が通じているのだから不思議だ。
「今度魔法の詠唱とかスクロールも確認して見ないとな、それにこの世界のモンスターについても知りたいし………やらなきゃいけないこともいっぱいあるな」
何度も言うようだが、知らない世界に来た以上、慎重に物事を進めることというのは大切だ。
やらなければいけない事が沢山あるならその橋から片付けていくしか無い。
必要そうなものはインベントリの中にあるため、服そうが変で無いかを確認すると扉を開ける。
扉を開けると多くの人々で賑わう道路と晴れ渡った青空によって迎えられる。
人々といっても、中には亜人種や若いエルフの姿も垣間見える。
「やっぱり異世界はこうでなくっちゃ!」
そう言い活を入れ、扉を閉めて通路を歩き出す。
外に出てすぐに気がついたのだが、魔法道具の効果はしっかりと発動しているようだ。
文字はちゃんと読める、というか文字が日本語に書き換えられているようにも思える。
大きな通路にある店を一つ一つ見ながら今後観ておきたいものはメニューにあるメモ欄に書き留めておく。
「それにしても、なかなか見つからないものだな」
探しているものに限って見つからないというのは、こちらの世界でも有効なのか。物欲センサーとは恐ろしいものだ。
道中、ポーションが店に売っているのは見かけたがどうやらその店で作っているわけでは無いというのだから今も探索を続けているのだ。
まぁ見つからなかったのならばメモに書いてある気になった店を見にいくだけだが、まだお昼時にもなってないのだからもう少し探すとしよう。
しばらく歩いていると、古びた店を見つけ足を止める。
ここはおそらくこの街の中でもだいぶ端だろう、賑やかだった人々は次第に少なくなり街を囲むように存在する壁が見える位置まで来ていたその店にはボロい看板に『ボ__ス合成』と書かれた看板がある。
「合成屋か?えらく古びているが……やっているのか?」
近ずいて見るとさらにその古びている木材が目立つようになる。
だが、その店から微かな薬草の匂いと魔法発動時特有の魔素の拡散反応があることからここに人がいるのは確かだ。
「すまない、誰かいるか?」
木材の扉についているドアノッカーを叩く。
叩くと同時に中から物音がなり、何かが落ちる音とこちらへ走ってくる音がなる。
そんな音を聞くためにドアへ耳を近ずけていると、急激にドアが開かれる。
ガタッ!ガンッ!
「はいはい!、なんでしょう!?……ってあれ?どこに?」
「ここだよ!ここ!」
「わわ!地面から人が!?さてはアンデッド!?」
扉から出て来た人は開けた扉をそのままに後方へジャンプして杖を構える。
扉から出て来た人間はフードを被っているためよく見えないが細い体といい声といいおそらく女性だろう。
っとそんなことを考えていたら詠唱を初めていた、それもスタン系ではなく完全に攻撃系の魔法、いまのこの装備で喰らえば大ダメージだろう。
ってやばくね?
「ちょっ!ちょっとまったぁあああああ!!」
とっさにインベントリの中から時計のようなアイテムを取り出し、即座に発動する。
発動時間は皆無、それでもって効果は強力単純、相手の魔法の破壊だ。
「____汝に浄化の光を!!ってあれぇ!?」
「ふぅ!なんとか間に合った…」
魔法の発動を却下されたそのフードの女性は驚きのあまり尻餅をついてしまう。
尻餅をつくと同時に頭にかかっていたフードが脱げ、その顔が露わになる。
一言で言うなら超絶美人と言うべきなのだろう、この世界の女性は皆綺麗な顔をしている人が多いが、その中でも美しいと思えるほどだ。
「な、なんで魔法が!もしかして間違えた!?」
さっきから自問自答しては顔の表情をコロコロと変えて行く。
そしてまたしても魔法を発動しようと詠唱を始める。
「おいおい!ちょっとまてって!!落ち着け!」
「___汝に……ん?人?」
やっと自分が人間だと言うことを理解したようで詠唱をやめると、またあたふたし始める。
「あわわわ!こっこれはすいませんでした!どうも最近この近くでアンデッドが大量に発生していてですね…」
ペコペコとこちらへ頭を下げながら謝罪の言葉を並べて行く。
この様子を見るに、彼女も相当焦っていて悪気はなかったのだろう。
砂埃を払いながら立ち上がるとその女性が自分より小さいことを知る。
「はぁ、でも出会って初っ端から魔法をぶっ放すってどう言う物騒なんだよ」
「はぅ!すいません……」
しょんぼり、とこれまた表情を変えて落ち込んでしまう。
この人はいつもそうなんだろうか…なんか大変そうだなぁ
「とっとりあえず、中に入ってください!この無礼のお詫びに何でもしますから」
「ん?いま何でもするって?」
「え!いや、その……エロいことはしないでください……」
今度はもじもじとし始め、こちらを上目遣いで見てくる、とても可愛い。
「うっ、冗談だよ!」
幾ら可愛いと言っても私は紳士(自称)だ、そんなことは絶対にしない!
……だがそんな上目遣いされると冗談とも言えなくなって来そうで怖い。
「よかったぁ、ではでは中へ入ってください、多少のおもてなしはしますから」
そういい彼女は家の中へ入り、こちらを手招きしてくる。
「はい、ではお邪魔します」
こうして、俺は美少女の家(合成屋)に入ることに成功する。
自分では結構書いたと思ったら意外と少なかった………結構あることだよね?そうだよね?