【0話】『Ω-オメガ-』
初期設定が難しかったぞい!
西暦2028年、日本で一世を風靡したゲームがあった
その名前は『Ω-オメガ-』
その時代ではもう主流となっているVRMMORPGゲームのジャンルだ。
このゲームがジャンルとしてVRMMORPGに括られる以上、他にもその手の類はある。
だが、これまでにあったVRMMORPGというのは開発会社の制作コストの削減という名目で、【決まったストーリーに沿って進行する】という単純なものしか作られてこなかった。
その手の趣旨のゲームは、プレイヤー達に最初こそ喜ばれていたものの、次第にそのテンプレとなったストーリーに飽き飽きし、VRMMORPGというゲームジャンルは衰退をたどっていた。
しかし、その業界に人気を取り戻すきっかけとなったのがこのゲームだ。
まず、これまでのVRMMORPGを見てきてストーリーに飽き飽きしていたプレイヤー達を呼び戻すきっかけとなったのは開発段階でのPVだ。
そのゲームの売り文句である【世界を謳歌せよ】それをわかりやすく表したPV、これに多くのプレイヤーは一度は振り向いた
最初のカットでは戦士、魔術師、弓師が協力してドラゴンと戦っている。
次のカットではドラゴンと戦っていた戦士達がその皮を鍛冶屋に渡している。
そしてまた次のカットに入り、今度は鍛冶屋がそれを使いアイテムを作っている。
鍛冶屋は作ったアイテムを屋台のおっちゃんに売りつけてそのおっちゃんの店に来た錬金術師が買いそのアイテムへエンチャントをする。
そして、そのアイテムを最初の戦士達が錬金術師から買い取る。
そこでムービーは終わり、黒い画面に白い文字が浮かび上がる
【今映った全ての者にあなたはなれます、さぁ世界を探索しよう】
その言葉に、プレイヤー達は期待した。
その言葉に、プレイヤー達は興奮した。
その言葉に、プレイヤー達は歓喜した。
そして開発も皆の期待を裏切らず答えてくれた。
製品版が発売され、待ってましたと買ったプレイヤー達に最初に与えられたのはアバターの選択の自由だった。
最初に選択できるアバターの種族その種類は10種類
人間種:・人間
亜人種:・エルフ・ドワーフ・獣人・鬼人・精霊
異業種:・蛙人・バンパイア・悪霊・ゴブリン・魔獣
人間種は性能が平均的で秀でているところはないが使い勝手が良い
亜人種は多少のペナルティはあれど初期から肉体面に置いて優遇が高いのが特徴
そして異業種、これは今までにあったRPGゲームからの逸脱を計ったこのゲームの機能だ。
異業種というのは、一部の面に置いて極端に弱かったり初期ステータスが圧倒的に弱かったりする。
しかし完成されるまで育てれば特化されとても強いという種族だ。
そして、このゲームは初期種族からの派生も可能であり、全ての派生を数えれば優に100を超える。
さらに種族を選び容姿を決めた後に設定できるキャラクターの職業、これもまた多岐に選ぶことができる。
【剣士】近接戦を得意とする
【魔術師】遠距離〜中距離を得意とするテクニカルな動きが可能
【弓師】遠距離戦や奇襲を得意とする
【盗賊】相手への奇襲やトラップによる足止め等を得意とする
【サモナー】使い魔、召喚獣等を使った戦いを得意とする
【鍛冶師】武器の制作、鍛錬をすることを得意とする
【アルケミスト】薬品、アイテムの生産や合成を得意とする
【研究者】新たな合成レシピや合成金属のレシピを開発できる
【商売人】プレイヤー同士でのアイテム売買を仲介できる
これらが初期職であり、この職での熟練度を貯めると次の職絵の転職が可能となる。
そしてこれらの職業というのはあくまでも形だけのものであり、ステータスの振り方では鍛冶師でありながらも剣士ということも可能である。
もちろん、適正職でないことをしようとすると多少のペナルティはあるが。
故に最初の職を取りつつ他の職を嚙ることも可能である。
プレイヤーのレベルは無制限(正確には上限レベルに到達した者がいない)とされているため、努力次第では全職業を取ることも可能とされる。
もし、初期職からやり直したい場合もレベルを10消費することで初期職を変更することが可能となる。(その場合は熟練度は最初からである)
これらの自由度の高いシステムに多くのプレイヤーは胸を躍らせた。
そして、キャラメイクが終了すればプレイヤー達は広大な世界へと送られる。
リスポーン地点は種族によって分かれているため一部の種族ではいきなりダンジョン内に……なんていうのもあったそうだ。
それはそうと、プレイヤー達は広大な世界へと飛ばされることになる
広大な……広大すぎると言っていいほどの大陸だ
その広さは、現実世界の地球を一周するのに必要な時間より一つの大陸を横断する時間の方が長いという大きさだ。
そして、その全ての大陸は作り込まれていた。
遺跡・洞窟・ダンジョン・墓地etc……
それらが至る所にあった。
そしてこれは賛否が分かれる仕様ではあったが、その世界に存在する全てのダンジョンは難易度というものが入って見てからでないとわからないという仕様だった。
つまり始まりの場所から近いダンジョンから弱いというわけでもなく、いきなり推奨レベル80クラスのダンジョンが目の前にあるなんていうことだってあるといったことだ。
流石に種族によるリスポーン地点が高難易度の場所に設定されることはないため調整はされているが、攻略サイトの初心者への説明欄には《始めたばかりの頃はダンジョンへ挑まない方が良い》と書かれることとなった。
以上が『Ω-オメガ-』というゲームのおおまかな概要だ。
そして、これから始まるのはこのゲームに魅せられて生産職というカテゴリをやり込んだ一人の男が異世界に飛ばされる話である。
書いてみるとあれこれ付け足したくなったぞい!