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帰宅途中の異世界遊戯  作者: おいも
異世界編
5/175

4夜食後のキャラクタークリエイト2

2連続投稿です。


(なんかやけに読み込み長いな?早く次行けよ…おし、次はキャラクターの造形か。これはぶっちゃけ醜くなければ拘りはないから自分の体型に少し見栄を張って筋肉を付けて…と、後はランダムで適当に見栄えの良過ぎず、清潔感のある…これでいいな、よし!こんなもんかな?そんでジョブ選びって言ってもここで選択できるのは3種類しかないんだよなぁ。って言っても何にするかは決めてるんだがな!)


 諦の思う通り、ジョブの選択と言ってもジョブが<発展する前>の3種類から選択する。自由度が高いのか低いのか分からない仕様になっているが、これはこのソウルオルターならではのシステムだ。


 ソウルオルターは自分のソウルを武器にして戦うゲームなので、それに適した種族で選んで伸ばす身体能力の方向性を決めなければならないため、キャラクタークリエイトの時点である程度は成長の方向性や戦い方を決めるゲームである。


 ソウルを形作るためにジョブを選び、どのような武器を扱うか決めることで成長するべき姿を認識するので、たった3種類といえど今後のプレイスタイルを決める重要な選択となっている。

 ただし、方向性を決めるだけであり、その攻撃方法しか出来ないと言うわけではない。

 例:弓を選ぶ=弓術しか出来ない。ではなく、弦で相手の首を締めたり、矢で相手を刺すことも出来るし、体術で蹴りを放つ専用のアクションも存在する。

 ここで決めるのはソウルを扱う上で、メインとなる攻撃方法を選ぶことであって、それ以外をしてはいけないと言うものではない。


(一々項目が決まる度に動きが遅くなるのはどうにかならないのか?まったく…えーっと、近距離攻撃主体なら【ブレイブ】で、中距離攻撃や支援の魔法系等なら【ウィザード】で、遠距離攻撃するのが【シューター】だったな。なら、俺が選ぶのは【シューター】っと武器は…)


 諦が【シューター】を選択したことで、多くの遠距離武器が目の前に現る。パチンコや投石器やブーメラン、弓やクロスボウ、レーザー光線と、原始的な武器から未来的な武器、と色々ある。中には【創造】と書かれた項目があるが、武器は決まっているのでそのまま目的の操作を行う。


(ブーメランとか玄人好みすぎだろ…それにしても、こんな風に武器が現れるって知らなかったから圧巻だな!まるでマトリッ○スの白い部屋で物資を揃えるシーンみたいだ。ん~やっぱり間接的な、遠距離武器なんかは無いのか?地雷とか武器で選べたらさぞ楽しかっただろうになぁ…出来ないことはわかってたけどな!【創造】で作れるかは分からんが、そんなのメイン武器にするつもりもないしなぁ…さて、あれはどこかなぁ~)


 諦がソウルオルターのプレイスタイルに思いを馳せながら目的の武器を探していく。


(お!あったあった。)


 諦が嬉々しながら見つけた武器を選択し、注意画面がポップする。


「おっ」


【※注意※ 遠距離攻撃は高度な技量を必要とする武器です。アクションが得意ではない方にはオススメ出来ません。本当にこの武器を選択しますか?】


(本当に出てきた…オンラインゲームなのにまるで難易度選択みたいな注意分だな…)


 諦が驚き、唖然としているのには事前にチェックしていた情報が元になっている。それは遠距離武器を選択したプレイヤーに対しての誹謗中傷である。


 ソウルオルターの非公式な雑談掲示板では「RPG初見ルナティックする人は他の人を巻き込まないでね^^;」「遠距離ジョブは魔法以外来るなよ!」「フレンドリーファイアは勘弁な」「攻撃当てられない、当ててもしょぼい寄生ジョブかよ」「飛び道具って威力も弱いんだろ?使えないわ」「お前らちょっといい方酷いぞ、PTに入れないだけに留めておけよ」「ステータスの補正ないのか?まじ遠距離ジョブってなんなんだろうな」「ってか遠距離ジョブって、他の2種には出ない注意文出るんだろ?よほど自信があるならともかく、遠距離で当てられないなら選ぶ意味ないだろ」と悪い部分が嘘か真か色濃く出ている。


 こういった言葉を、テスターは言っていないのだが、事実を元にしたプレイデータのレポートが未プレイプレイヤー達による悪意で、遠距離ジョブは不遇だから選ぶなと暗に知らせ、除外を図る動きが見られる。

 物理系統の武器は、フレンドリーファイア(味方に攻撃を当ててしまうこと)の原因となる。魔法はその限りではない。


 しかし、フレンドリーファイアと言っても、威力は大分落ちるので気にするレベルでは無いはずなのだが、未プレイ状態で作ってしまった流れはそんなことでは覆らないし知る由もない。

 こう言った妄想レベルの会話は、どんなゲームでも発生する物であり、ゲームを楽しむための一種の現象なので、無くすことも不可能だ。勿論悪いばかりではないが、オンラインゲームは人との関わりが非常に色濃く出るために無意識にもやり込みたいプレイヤーは不穏分子を排除する傾向にあるのだ。


 擁護をすれば、叩かれるし黙っていても悪い流れは変わらない。そのせいか、遠距離はただゲーム開始序盤の扱いが“不憫”ではあっても“不遇”ではないのだが、未プレイヤーの間では遠距離ジョブ=地雷という先入観が植え付けられていった。

 だが諦は、ゲームはゲームなので、自分で好きなこともできずに周りに流されて決めたくはないと感じており、我を押し通すことを決め、確かな決意を持って【はい】を選択した。


(例えほんとに迷惑掛けるならソロで楽しめばいいだけだしな!…ってほんとにロード長いな?オンラインゲームだぞ?最初だけだよな?)


 と、諦が今後の展開を不安に思いながらキャラクタークリエイトを終えて始まるのを待つ、突然ヘッドマウントディスプレイの画面が真っ暗になった…のではなく画面の風景がただ単に、暗くなった。


【ようこそ!ソウルオルターの世界へ!】


 それはボイスではなく、目の前に突然現れる文字だった。文字がぶつからないとわかるのに目の前に迫ってくる迫力に、諦の体が一瞬硬直して驚いてしまった。


(こ、これがVR!)


 大袈裟な驚き方をしている諦を尻目に、被っているヘッドマウントディスプレイの画面の中心から光が溢れていき、辺り一面を白く覆った。

 白い世界から段々と目が慣れていき、周囲は森林の中で有ることが伺える。見下ろすと画面がラグ無しで追いついていき、自分の体を認識できた。あまりのラグ無しの状況に先程まで抱いていた不安はVRの演出で吹き飛んでいた。


『ピッ♪』


 自分がソウルオルターの世界に来ていることを認識し始めたと同時に、この森林から異質な電子音が鳴る。そこには半透明のウィンドウが現れており、読みやすいメッセージが表示されている。

 アキラが忙しなく見渡しているのに対し、画面はブレること無くピッタリと追随してくる。


【貴方は、この世界で来訪者として訪れています。来訪者とは、意図せずに異世界に訪れてしまった人たちの総称です。貴方はこの世界で生きていき、自分の居た世界へ戻ることを目標に行動しましょう。】

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