表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Celestial sphere  作者: 一条 灯夜
【Gemini】 ~Pollux~
51/424

12

 他の連中と違い、青銅で補強された革兜を被った男は、本来は投擲用の槍を右手で構え、三日月盾の背後に身を縮めて隠し、突きかかってきた。

 盾が邪魔になる方向――、左側に軽くステップを刻む。

 勢い任せに突き進むかと思ったその穂先は、しかし、思った以上に軽快に方向転換して再び俺と正対してきた。

 流石は隊長格、奴隷を殺すのとはわけが違う。

 俺はそのまま槍の正面に立ちながら、重心をやや後ろに傾け、挑発するように小刻みに左右に揺れながら下がる。

 殺すためじゃない短く素早い突きが、連続で襲ってきた。

 まだだ。今じゃない、俺だけじゃなく、エレオノーレの動きにも敵は注意を払っている。腕を伸ばし切って突いてこないのがその証拠だ。

 もう少しからかってやる必要があるか、と、一度大きく飛びのいて、思いっ切り舌を出して見せ、剣を横に構え、人差し指と中指で、来いよ、と挑発した。

 兜、それに盾の影で向こうの顔は見えない。

 しかし、僅かに上体が沈んだ――と、感じた時には、さっきまでとは比較にならないほどのリーチの突きが、剣よりもはるか遠い間合いから放たれた。

 左腕を庇いつつ回避に専念し、更に下がる。奪った剣での反撃は行わない。槍を横に払おうとするのを、抑えたり払ったりする程度だ。今の俺は致命傷を与えられないし、それなら――囮になればいいだけだ。注意をそらせれば十分。

 下がり続ける俺が、道の端の段差に足を止める。敵があと少しと判断し、攻めるのに夢中になったその僅かな隙に――。

「セァッ!」

 掛け声を聞いた刹那の交錯。エレオノーレの突きが、俺が対峙していた敵の首に刺さっている。

 褒めるほどではないが、俺が傷を貰う前に一撃で仕留めたんだし、まあまあ及第点といったところか。

 エレオノーレが剣を抜くと、敵部隊長の首から激しく血が噴き出した。頚動脈をやられたんだろう。槍を手放した男は、首筋を強く押さえ――しかし、その指の隙間から血は溢れ出しており、恨みのこもった目を俺に向けながら死んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ