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軽装歩兵がつかみで五十、農具や粗末な剣で武装した村の男衆が八十といった所か。まだ事態はそれほど深刻なものでもないらしい。面子だのなんだのに拘っているんだろう。
しかし、いくら俺達とはいえ、多勢に無勢だ。まともに正面からぶつかり合えば負ける事に変わりは無い。
そう、バカ正直に囲みを破ろうとしたら、な。
「それで、お前はどうするんだ?」
小窓を閉め、ニヤニヤと笑いながら、肩越しに振り返ってエレオノーレの顔を見る。
肩が小刻みに震えていた。怒っているのか悲しんでいるのか、判断が難しい顔をしている。ギュッと――細身の剣を、指が白むほど強く握り締めている。
「……私が時間を稼ぐ。その隙にアーベルは――」
面白くもなんとも無い台詞が出てこようとした口を、ぶん殴って黙らせた。
「な――!」
土が剥き出しの床に転がったエレオノーレが、非難する目を向けてきた。得物が無いので切っ先は突きつけられない。その代わりに、言葉を尖らせて突き刺す。
「言った事に責任を取れ。お前が死んだらつまらんだろう。切り抜けるぞ」
言い終えるとすぐに作っておいた藁束を抱えて準備を始める。エレオノーレの反応は待たない。まあ、概ね予想は出来ているが……。
しかし、向こうもバカじゃない。敵は同じラケルデモン人だ。こちらの動く気配を察したのか、村中に一斉に灯りが点った。
夜が赤く燃え上がる。
「それでなにをするつもりだ?」
ひとりだけ事態においていかれた感のあるエレオノーレが不安そうに俺の手元を覗き込んできたので、早口で命令する。
「いいから手伝え、俺の真似をしろ」
出立の――、そして、戦闘の準備が完了したのはそれから程なくのことで、怒声での降伏勧告は準備を終えた直後に響いてきた。




