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665―ハーツ―  作者: 桃姫
炎の星――Dazzling flame wraps up the sky and lights up the world――
9/33

9話:契約者

 二人(一匹?と一人)を先に帰らせた。

 これで、どちらを追うかで、敵の狙いがどちらにあるのかを探る。一応、猫耳さんが追っていたということは、猫耳さんがターゲットと言うことはなさそうだったので、後藤を送っていってもらったが……。

 そして、脳裏が、視界が、躑躅色に支配をされる。

 ぐわんと頭が揺れるような気がしたら、もう、そこは【壊れた輪廻のセカイ(リンネのハヘン)】だった。

 やはり狙いは、こちらか。

「マスター、来ましたね」

「ああ」

 さて、と。どうするか。

「契約を執行します。言の葉を私に合わせてもらいますか?」

 シリウスの声に、俺は頷いた。

 ――第一解放(ファーストバースト)、始動【エデン】

 天から光が舞う。

 躑躅色に包まれた世界の一部が、白い光に満たされる。

「私の背に手を置いて、呪文を復唱してください」

 復唱すればいいのか。俺は、慌てて手をシリウスの背中に置いた。

「いきますよ。『我、天の力を繫ぐ者なり』」

「わ、我、天の力を繫ぐ者なり」

「『契約により、従者シリウス』」

「契約により、従者シリウス」


『我が元に、空に輝く星の力を再び開放せよ!』


 二人の声が重なりあい、唱えた呪文が天へと響く。

 それと同時に黒い何か、こと、使い魔がぞろぞろと四、五体まとまってやってきた。

「マスターは、下がっていてください。私がやります」

 そういい、手に桜色の炎を燈す。

 昨日の炎よりも強く眩しい輝きを放つ【桜炎】の力。

「す、すごい……。契約しただけでこんなにも変わるんだ……」

 シリウスが呟いた。嬉しそうに尻尾を振り回し、使い魔をなぎ払う。

「すごいじゃないか!シリウス」

「マスターのおかげです。あっでも、ナデナデしてください!」

 と謎の要求をされたが、まあ、助けられたし、そのくらいどうって事もないだろう。そう思い、静かに頭を撫でる。すると、シリウスは、はにゃ~と言う効果音が似合うように頬を緩ませ、尻尾が千切れるのではないかというくらい振り回していた。

 だが、その行為は、束の間の休息でしかなかった。いつまでも躑躅色のセカイに閉じ込められたままだなと感じていたら、躑躅色のセカイの中心にセカイを割るかのように突然、一人の男が現れたのだ。

 男は、プロレスラーのようにムキムキのマッチョで、なおかつ、ものすごく毛深かった。な、何だあれは……。そして、目を疑ったのが、本来ならば、人間の下半身は二足だが、その男は四足あるのだ。あれはまさしく、ケンタウルスのようだった。上半身は人間で、下半身は馬。……馬?いや、あれは、馬じゃないぞ。男の下半身は紛れもなくキリンだった。模様的にも色的にも。

「よ、よく分からないが、どうするべきだ。シリウス、どうすれば……」

「……。よくも、よくも邪魔を……!許さない、許さない!」

 なにやら怒り心頭な様子のシリウス。

 双手に桜の炎を宿し、ケンタウルス(キリン)を殴り飛ばす。

「むっ、ハーツか!?な、何だ、この炎の威力!」

 おそらく、使い魔が消されて、確認に来た獣人だったのだろう。シリウスにまだ気づいていなかったらしく、反応が遅れた。

「ぐぉっ……なんだ、この熱は……」

 ケンタウルス(キリン)は勢いよく後に吹き飛ぶが、いくらなんでも景気よく吹っ飛びすぎだ。

 おそらく、攻撃の威力を軽減するために、後ろに飛んだのだろう。ならば、すぐ立ち上がって攻撃してくるだろう。


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