30話:調律の調
Sceneフウキ
無数の炎が、猫耳さんを包む。
吹き飛ぶ。
それで、戦いは、終わる。
本当に、それだけだった。
八雲の方も剣音がおさまっている。
まあ、彼女たちは、時間を稼いでいたのだろうけれど。
「もう、シリウスが帰ってくる時間だな」
俺の呟きと同時くらいに、シリウスが帰ってきた。
「マ、マスター。これは、一体、何事ですか?」
俺は答えない。
「何があったのです……?なぜ、スピカとアルクが……。敵、敵ですか?なにが、何があったんですかっ!!」
俺は静かな声音で言った。
「シリウス、俺と戦え。全力で」
「へ?それってどう言う……」
俺は、先制攻撃を仕掛ける。
「凍えろ氷塊、
降り積もれ白雪、
凍てつくは深い夜、
天より落ちし粉雪よ、
幾千、幾万にも重なり、
落ち凍れ、
【氷蒼】」
魔法陣から冷たいものが噴出す。地面や空気すら凍てつく。
「桜の舞【桜魔】!」
それを炎の力で打ち消す。
「舞え白雪、
崩れろ雪山、
轟け轟音、
天より響く崩壊音よ、
幾千、幾万にも重なり、
揺れ落ちろ、
【崩雪】」
黄金の魔法陣から、雪崩が噴出す。
「桜の舞【奥義・桜羽】」
桜色の特大の炎が雪崩と激突する。
雪が溶け、炎を襲い、水蒸気がたちまち沸きあがる。視界は、白に覆われ、互いに姿を目視できなくなる。
「なあ、シリウス、次で最後だ」
「……、なんだか分かりませんが、マスターが言うなら、私も全力でやります。私の全力全開、受けてください」




