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665―ハーツ―  作者: 桃姫
黒の星――The star falls calmly――
28/33

28話:代償

 俺と八雲は、廃墟に来ていた。

「ラスト・オブ・エデン……。と、【輪廻】」

「妙な組み合わせね。それは、こちらを裏切ったと言うことでいいのかしら?」

 スピカと猫耳さんが聞いてくる。

「いや、裏切ったわけじゃねぇよ。ちょっとした取引……いや、提案、かな」

「提案?」

 猫耳さんが眉を顰め聞いてくる。

「今の状況を打開したいから【終焉】を使うんだろ?」

 そう、スピカの説明だとそういう認識のはずだ。

 しかし、それだけだと世界は狂う。

 だから、俺は考えた。

「俺は、【原初】の魔法使い……。【調律者】として、【終焉】のみの使用は許可できない」

「【終焉】のみ?それじゃあ、何と使えと言うのかしら」

 簡単だ。

「【原初】と【終焉】の二つの魔法を最大の状態でぶつけて、起源魔力にアクセスさせ、【輪廻】で、起源魔力を散らす」

 そもそも、獣人とハーツの差はどこから来ているかと言うと、魔法的力を自由に使える者の数の差だ。

 ハーツで言う姫御子は、ハーツに四人だが、獣人には百人以上いるそうで、圧倒的に戦力が違う。それを覆すための【終焉】だと言うなら、根底を変えればいい。

「つまり、全員が力をなくせば、対等にやれるだろ?」

 俺の言葉にスピカが、

「それは無理。ハーツの数と獣人の数が既に違いすぎる。数で圧倒される」

「それはいくらでも巻き返せるだろ?」

「無理。だから、その提案は却下する」

 そう言って鎌を構える。

麦と五月雨の姫御子(アルクトゥルス)。ラスト・オブ・エデンを頼む。【輪廻】は私が潰す」

 予想通りの組み分けか。

 猫耳さんもやはり姫御子か。シリウスとスピカと同等に話してたから、予想はしてたがな。

「焼けろ(ほむら)

 輝け深紅(しんく)

 弾けろ爆炎(ばくえん)

 天に昇る焔神(えんじん)よ、

 幾千、幾万にも重なり、

 燃え広がれ、

 【焔丹(えんたん)】」

 黄金の魔法陣から炎が噴出す。そして、俺は、手を動かし、魔法陣の位置を操作する。

 猫耳さんとスピカの間に噴射が来るようにし、炎が、壁を作り、分断する。

「壁か」

「念のために一対一の真剣勝負ってことで」


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