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665―ハーツ―  作者: 桃姫
黒の星――The star falls calmly――
27/33

27話:雷鬼の札

 時間は、少し遡る。

 【始まり】の魔法を調べた、少し後。


「ん?なんだ、これ?」

 俺は、親父の本の間に挟まっていた何かを抜き取った。

 長方形の紙。円や星、漢字が書き込んであるそれは、栞に使っていたのだろうか。それが挟まっていたページを開く。そこには、

「雷鬼の魔法……?」

 そこに記されていたのは、そんな名前の魔法だった。

「何々?」

【雷鬼】

 鬼の如き力と雷が合わさった魔法。

 今回は、その力を呪詛としてくみ上げ、それを紙片に文字として封じることで、【雷鬼の呪符】をつくることに成功した。

 「呪符」には、ある程度の特殊効果を仕込んでおいた。

・仕込み

 【雷鬼招来】

 「呪符」を貼った物に【雷鬼】の力を付与することができる。

 【雷鬼残像】

 「呪符」を貼った物を雷で写し取り、雷でできたコピーを作ることができる。

 【雷鬼一陣】

 【雷鬼残像】によって作られたコピーを元の一つの物体に戻すことができる。しかし、戻る時は、物質から雷となり「呪符」に戻るため、感電に注意すること。

 【夜夢の封】

 「呪符」から、黒い粘性の霧を出し、相手を捕らえる。これは、ついでに呪詛に込めた【夜】と【氷夢】の魔法の特性である。

 【氷魔紅叉】

 「呪符」から、氷が飛び出し、相手を凍てつかせる。【氷夢】の魔法の特性である。


 これは、便利なものを見つけた。

 なるほど、これがあれば……


 時は戻って今。八雲を倒した俺は、八雲に作戦を説明していた。

「へぇ、便利な札ね」

「ああ、で、おそらく、スピカと猫さんが強敵っぽいから、お前は、スピカを戦闘不能にしてくれ」

 そう、殺さなくて良い。

「方法は、この札を【時空剣】に貼っておくから……」

 俺は、にやつきながら、自分の作戦を八雲に授けたのであった。


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