27話:雷鬼の札
時間は、少し遡る。
【始まり】の魔法を調べた、少し後。
「ん?なんだ、これ?」
俺は、親父の本の間に挟まっていた何かを抜き取った。
長方形の紙。円や星、漢字が書き込んであるそれは、栞に使っていたのだろうか。それが挟まっていたページを開く。そこには、
「雷鬼の魔法……?」
そこに記されていたのは、そんな名前の魔法だった。
「何々?」
【雷鬼】
鬼の如き力と雷が合わさった魔法。
今回は、その力を呪詛としてくみ上げ、それを紙片に文字として封じることで、【雷鬼の呪符】をつくることに成功した。
「呪符」には、ある程度の特殊効果を仕込んでおいた。
・仕込み
【雷鬼招来】
「呪符」を貼った物に【雷鬼】の力を付与することができる。
【雷鬼残像】
「呪符」を貼った物を雷で写し取り、雷でできたコピーを作ることができる。
【雷鬼一陣】
【雷鬼残像】によって作られたコピーを元の一つの物体に戻すことができる。しかし、戻る時は、物質から雷となり「呪符」に戻るため、感電に注意すること。
【夜夢の封】
「呪符」から、黒い粘性の霧を出し、相手を捕らえる。これは、ついでに呪詛に込めた【夜】と【氷夢】の魔法の特性である。
【氷魔紅叉】
「呪符」から、氷が飛び出し、相手を凍てつかせる。【氷夢】の魔法の特性である。
これは、便利なものを見つけた。
なるほど、これがあれば……
時は戻って今。八雲を倒した俺は、八雲に作戦を説明していた。
「へぇ、便利な札ね」
「ああ、で、おそらく、スピカと猫さんが強敵っぽいから、お前は、スピカを戦闘不能にしてくれ」
そう、殺さなくて良い。
「方法は、この札を【時空剣】に貼っておくから……」
俺は、にやつきながら、自分の作戦を八雲に授けたのであった。




