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665―ハーツ―  作者: 桃姫
光の星――Dazzling light covers the sky and can cover up the world――
23/33

23話:スピカ

 躑躅の世界に突如囚われた俺。

 世界は、荒廃した。

「あ~、まったく、色々忙しいってのに。ま、とりあえず、一人は、まだまずいな」

 俺はしばらく走っていたが、敵の気配を感じたので、隠れる事にした。すると、さっきまで、俺が居た道を、こないだの黒い何かこと、獣人の使い魔が通っていく。数十匹まとまっている。見つかると即死の可能性あるな。

 そう思って身を潜めていたが、突如、俺の首筋に、冷たい何かが当たる。驚いて、勢いよく振り向こうとしたが、言葉で、止められた。

「やめた方がいい。振り向いた瞬間、首が中を舞うから」

 そして、首元にあったのは、大きな鎌。確かに、振り向いていたら、首は今頃無かったかもしれない。

「あんた、誰?」

「ワタシは、春と真珠の姫御子(スピカ)。スピカと呼んでくれればいい」

 炎と光の姫御子(シリウス)春と真珠の姫御子(スピカ)麦と五月雨の姫御子(アルクトゥルス)源と銀の姫御子(リゲル)

 四人のハーツのトップの一人。

「お前こそ、誰だ?」

「俺は、篠宮フウキ。お前等の言うところの【最後の光の民(ラスト・オブ・エデン)】」

 やっと、鎌が首から離れた。

「では、シリウスの呪印を見たはず。どのようなものだった。黒かった?」

「黒い羽が……」

「そう、では、やはり、シリウスが【終焉】」

 そう言ってから、急に顔を上げるスピカ。

「チッ、【輪廻】か」

「【輪廻】?」

 話も半ばにスピカは羽を出した。

 白い羽。鳥人……か?

「そこね……【時空剣(レリファス)】!切り取りなさい!」

 瞬間、世界が歪んだような錯覚を覚え、石垣も塀も道路も消えた。

「チッ!」

 スピカは鎌で何もなくなった空間のその先を斬る。

「鳥姫、ね。あら、フウキも一緒?」

「八雲っ!」

 俺は叫んだ。

「さあて、と。鳥姫。貴女には死んでもらうわ」

「厄介な武器……」

 八雲が持っている剣のことだろう。

「【時空剣(レリファス)】は、時空間を切り取る剣。そこにあった空間は、切り取ったわ」

 八雲が剣を構える。

 剣がジリジリと音を立てて振るえている。

 次の一撃で、この辺一帯を切り取る気か?

「安心して、フウキ。貴方は残すわ」

 これは、まずいな。

 ったく、人が真中(はいいろ)の道行こうとしてんのに……。


――始まりの魔法使い、それを継ぐもの。


――大きな力、それは、自然。始まりは、全てを飲み込む、そして、包む自然の魔法。


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