17話:星の名を冠す者
八雲は、告げた。
「【白羽】と【黒羽】。対となる二人の存在がぶつかった時世界は、続くか消えるかが決まるわ」
それは、おそらくめるとの言っていた。【終焉】とやらと、俺やめるとのような【始まり】のことを言っているのだろう。
「それで?」
「【黒羽】は、貴方の側にいる狼姫なのよ」
【終焉】がシリウス……。まあ、予測はしていた。しかし、シリウスを殺すわけには行かない。
「【白羽】が誰であろうと、アレを殺すのは難しいわ。この世界はやがて滅びるわよ」
およ?【白羽】が誰か八雲は気づいていないらしい。
「だから、私の使命は、アレが契約をする前に殺すこと、だったんだけど、フウキが契約しちゃったから」
貴方のせいで、とは、そういうことか。
「何で難しいんだ?殺すのが」
「炎と光の姫御子。それがアレの本名だからよ」
本名?そういえば、シリウスもあったとき名前を名乗った後に、「まあ、それも通称のようなものなのですが……」と言っていたような……。
「アイデン・ハーツは母の姓らしいけど。シリウスと言うのは、完全な偽名。炎と光の姫御子なのよ」
いつか、時が来れば教えてくれると言っていた。その炎と光の姫御子の意味。
「ハーツには四人のトップがいるの。炎と光の姫御子、春と真珠の姫御子、麦と五月雨の姫御子、源と銀の姫御子。彼女らはそう呼ばれているわ」
シリウス、スピカ、アルクトゥルス、リゲル。どれもどこかで聞いたことがある名前だな。はて、どこだっけ?
「フウキ……。あなた、理科の時間に何してたのよ。いえ、ナニで何してたのよ」
「何で、変なふうに言いなおしたんだよ!」
理科?元素記号?違うな?なんだ?
「はぁあ、」
大きな溜息が聞こえる。
「理科の主な分野は、物理、化学、生物、地学。じゃあ、物理は何やるの?」
「え、そりゃ、物体の運動法則とか」
あとは何が物理?
「ええそうね、後は電気とかも物理に分類されているわ。化学は?」
「えっと、化学反応?」
くらいしか思い浮かばんぞ?
「そうね、化学反応や酸化還元反応、質量保存の法則なんかを習うわ。じゃあ、生物は?」
「動物だろ?」
生物なんだから。
「そうね、動植物と環境かしら。それで、地学は?」
「そんなの、地層とか化石とか火山とか地震とかプレートとかだろ?」
八雲が残念そうな顔をする。
「じゃあ、聞き方を変えるわ。今言ってなくて理科だと思うのは?」
「そりゃ、う~ん。エコとか?」
違うっぽい。八雲の反応がそう言ってる。
「はぁ、じゃあ、聞き方をさらに変えましょう。理科関係の部活って言ったら?」
「え~、理科の部活?」
うちの高校、無駄に部活あるし。
「実験部、飼育部、光学エネルギー研究会に……」
後は……
「天文部?」
「はい、正解」
お?正解らしい。で、天文部がどうしたんだ?
「天文部、要するに天文学。高校で習う時は地学と一緒だけどね。さて、問題、天文学とさっきの四つ。関連は?」
「は?天文学で名前なんて言ったら、惑星の名前か、正座の名前か、星の名前くらいじゃねぇか」
「はい、と言うわけで、どれも星の名前でした~」




