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665―ハーツ―  作者: 桃姫
光の星――Dazzling light covers the sky and can cover up the world――
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16話:三縞八雲

 めるととの出会いを経て、俺は、めるととの約束を守るために行動をとることにした。そう、そのためにはその鍵を握っていそうな、俺のかつての彼女、三縞八雲と逢わなくてはならない。

「とは言ってもなあ……」

 学校をサボって町まで来たはいいものの、八雲の姿は見えない。

 あいつ、どこに居るんだ?

「フウキ」

 その声に俺は戦慄した。今まさに探していた少女の声。

「どうかしたのかしら?」

 ウフフと不敵に笑う様子は間違いない。紛うことなき本物の八雲だ。

「呼んだでしょ♪」

 語尾が弾むような喋り方で話し、俺を見つめる八雲。

「お、おう。久しぶりだな……ってそうでもねぇか」

「ええ。こないだ久しぶりにあったもんね♪」

 不敵な笑みで、俺のことを見る。この様子……

「あの、何か怒っていらっしゃいませんこと、八雲さん?」

 変な言葉遣いになりつつも八雲に聞く。

「怒ってる?何でそう思うの?」

 ウフフと笑いながら聞いてくる。

 間違いない。怒ってる。

「いや、その、やっぱり怒ってらっしゃる?」

「ウフフフ。何を言ってるの?ほら、こんなにも笑顔なのよ?」

 いやいやいや、怒ってる。恐い。笑顔が恐い。

「えっと、何に怒ってらっしゃいますのですか?八雲さま?」

「ウフフ、別にあの狼姫と一緒にいたことなんてちっとも怒ってないわよ。ええ、私は、心が広いから、別の女とキスをしたってちっとも怒らないわよ」

 ヒィイイイイイイと言う悲鳴を上げそうになるのを抑えて、震えた声で、

「い、いや、あれは、別にキスってわけじゃ……」

 契約だし。

「へぇ、唇と唇を重ね合わせる行為をキスでないならなんていうのかしら?口付け?接吻?チュウ?」

 どれも同じですやん!と言うツッコミを心にしまいこみ、叫ぶ。

「いや、別に恋人同士ってわけじゃないんだぜ、俺とシリウスは。それなのに」

「へぇ~、フウキは、出会ったばかりの恋人でもない女とキスをするの……?」

 いやいや、そうじゃなくて、

「いや、そんな誰でも彼でもするわけではなく……」

「へぇ、じゃあ、あの狼姫は特別ってこと?」

 あ~、何か、話の流れが……。

「いや、そういう事じゃなくてな」

「じゃあ、どう言うこと。ああ、そう、お前はもう捨てた女だから要らないってこと?」

 だぁああああ!と叫びたい気持ちを封じ込める。

「俺は捨ててない。と言うか、お前が俺を捨てたの」

「今度は責任転嫁かしら。まったく、フウキったら」

 何か、俺が悪いみたいになってるし。

「でも、そんなダメなフウキには私がいないとダメねっ、きゃは♪」

 キモい。そして、恐い。何こいつ。

 いったい、俺といない間に何があった。

「と、まあ、ひとしきり冗談を済ませたところで、」

 うぜぇええええええ!なんだ、コイツ。知らない間に伝説の云たらの伝説の金髪是絶世の美女に影響されたみたいな性格になりやがって……。

「あっ、お仕置きは後でするから覚えとくよーに♪」

 恐ぇえええええええ!

「それで、フウキ。一つ言っておくわ」

 真剣な顔に戻り、八雲が話す。


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