1話:プロローグ
この作品はフィクションです。登場する人物、団体、単語、事件は、実際のものとは関係ありません。
更新は、不定期です。
この作品には文体や表現に些か誤りがあるかもしれません。また、戦闘描写などは苦手なので、不満に思うかも知れません。
未熟なので許していただけるとありがたいです。
俺の視界は、突如躑躅色に染まる。
俺の目の前に聳え立つ建物は、まるで数百年も放置したかのような廃れた色に変り、地面の様子も様変わりしていた。
荒廃した世紀末のような。壊れたような。そんな世界に一人立っていた俺は、呆然としていた。
「どこだよ、ここ」
時間が経つにつれ、空の躑躅色は段々濃さを増し、黒っぽくなっていく。背筋がゾッとなる感覚がして、後ろを振り返ると、そこには、一点の黒い何かがあった。
何かって何だ?と問われると返答に困る。だって、それは、「何か」としか言いようのない、表現の仕様がない「何か」なのだから。
黒い何かは、力を増すかのように広がっていく。そして、数秒で俺の大きさを超えた。
これはまずい。
俺の直感がそう告げている。だが、逃げようにも足が動かない。震えている。黒い何かが、俺を包む前に、俺は、最後の力を振り絞って叫んだ。
「助けてくれぇぇ!」
バッとフラッシュが光ったような閃光が見えた刹那、白い炎が取り巻いた。
そして、何かが消滅した。俺は叫ぶ。
「シリウスッ!」
現れたその少女は、闇よりも深い漆黒の瞳で俺のことを見る。銀と朱が入り混じった銀朱の髪を爆風になびかせながら、俺の前に降り立った。
「助けに来ましたよ。マイマスター!」
その満面の笑みに、俺は、安堵する。