大人の為の子供相談室 ○○の秋
タケジー:というワケで今回も始まりました。大人の為の子供相談室、第九回目となります。
ミカリン:いやぁ、最近やっと涼しくなってきたよねぇ。
タケジー:もう十月、過ごしやすい気候になって様々なことに精力的になれる時期ですからね。ミカリンも毎日ゴロゴロしてないで、何か新しいことにチャレンジしてみたらいかがですか?
ミカリン:そう言うアンタこそ、何か始めたりしたの?
タケジー:えぇ、ジョギングを始めました。
ミカリン:そういや、スタッフさんにウェアのこととか聞いてたよね?
タケジー:スポーツ用品店とか、高校の頃に部活の友達と入って以来でしたよ。物珍しくて、つい色々と見て回っちゃいました。
ミカリン:ふーん……。
タケジー:というワケでどうです? ミカリンもスポーツの秋とか。
ミカリン:めんどくさいからヤダ。
タケジー:そんなこと言って食欲の秋ばかり堪能としていると、後で色々と大変なことになりますよ?
ミカリン:ぐぬっ(会心の一撃)
タケジー:あれ?
ミカリン:何よ、その『炎属性の敵に炎系魔法が効いちゃったぞ』みたいな顔は?
タケジー:いや、言ってる意味がわかりませんけど……ミカリンも体重のこととか気にするんですね。ちょっと意外でした。
ミカリン:まぁ、私もそれなりに自分の立場ってものは自覚しているからね。オタクでヒッキーで喪女な私が小太りだったら、そりゃもう救いようがないじゃない。だからまぁ、顔やオシャレはしょうがないとしても、体型くらいはね。
タケジー:何というか、実にミカリンらしい努力ですね。
ミカリン:というかさ、何でいきなりジョギングなんて始めちゃったの?
タケジー:えっ? いや……別に大した理由があるワケじゃなくてですね、せっかくの秋ですし、それっぽいことを始めてみようかなと、そう思っただけでして。
ミカリン:貴様、嘘を吐いているなっ!
タケジー:なな、何の話ですか?
ミカリン:……そういえば、最近ちょっとお腹出てきたよね?
タケジー:えぇっ!? わ、わかりますか?
ミカリン:やっぱりか。どーせそんなこったろうと思った。
タケジー:カマかけましたねっ?
ミカリン:まぁ要するにアレでしょ。ホントは食欲の秋なんだけど、食べ過ぎちゃったことを誤魔化す為にスポーツの秋にしちゃおうとか、そういうことなんでしょ?
タケジー:まぁ確かに、食べ過ぎちゃったことは事実なんですけど……。
ミカリン:んんっ? で、何をどんな風に食べ過ぎちゃったのかなぁ? 栗ご飯かぁ? 焼き芋かぁ? それともそんなの関係なく失恋してヤケ食いとかかぁ?
タケジー:あぁいえ、彼女が最近お菓子作りにハマりまして、それを食べさせられている内に体重が――
ミカリン:はい解散!
タケジー:ええええっ、いや最後まで話させてくださいよ。
ミカリン:うっさい。そんなノロケ話聞きたくないわっ! そうだろ、諸君?(そーだそーだ)
タケジー:音響さんまで……。
ミカリン:そもそもだ。この場は○○の秋というテーマについて語るべき所であるというのに、自らのノロケを披露して悦に浸ろうなどと、何たる厚かましさ!
タケジー:ミカリンに厚かましいとか言われる日がこようとは、夢にも思っていませんでした。
ミカリン:さて、私は惰眠の秋を堪能しているワケだが、タケちゃんはどんな秋を満喫しているのかな?
タケジー:いやだから、スポーツの秋ですってば。というか、惰眠の秋って何ですかっ。
ミカリン:何もしてないってことだ(えっへん)
タケジー:何でそんなにドヤ顔なんですか……。まぁ確かに実りの秋でもありますから、食欲の秋というのは理解できるんですが、それ以外は別に秋じゃないといけないことってないですよね。
ミカリン:スポーツ読書芸術……まぁ気候とか夜長とか風景とか、それなりに根拠のある話だとは思うけどね。
タケジー:でも何で秋だけ特別なんでしょうか。気候の問題ってだけなら春も大差ないでしょう? でも、○○の春って言いませんよね?
ミカリン:まぁ、それは仕方ないかな。
タケジー:どうしてです?
ミカリン:かつてあったのだよ。闇に埋もれた抗争の歴史がね。
タケジー:……はい?
ミカリン:タケちゃんの言う通り、春と秋は良く似ている。どちらが万能の季節であるのか、そのことで両者は争い合うようになった。
タケジー:あのー?
ミカリン:当初は静かに始まった話し合いだったソレは、次第に相手を罵る誹謗合戦へと変化し、様々なネガキャンを巻き起こし、周囲を巻き込んで抗争の範囲は拡大した。
タケジー:もしもーし。
ミカリン:そしてあの日、ついに雌雄は決したのだ。一発の爆弾によってな。
タケジー:爆弾?
ミカリン:そう、黄色い粉塵、現代人の天敵、スギ花粉という爆弾によってだ!
タケジー:いや、確かに春っぽいですけど。
ミカリン:その一発で『春はやる気が起こらない』というイメージを確立されてしまった春は、あらゆる能動的な活動から手を引かざるを得なかった。残ったのは暁を覚えない程度の春眠と、五月病だけさ。
タケジー:……まぁ理由はともかく、春は確かに眠いというか、あまり活動的でないという印象はありますね。新学期の始まる時期ですから、むしろ活発な筈だと思えるんですけど。
ミカリン:そう、つまり我々は踊らされているのだよ。秋の手の平の上でね。
タケジー:そういう言い方をされると何ですけど、確かに秋だからという理由で何でも能動的にやるというのは、ちょっと納得がいかないですよね。まぁ、そうしないと食っちゃ寝になりそうですから、実りの秋と相まって大変なことになりそうですけど。
ミカリン:そういう点では理に適っていると言えるんだよね。まぁ春としては、元々イベントの多い時期でもあるから、無理して能動的にする必要もないってことでもあるんだろうけど。
タケジー:五月病なんて、だからこその弊害でしょうしね。
ミカリン:つまりよ、裏を返せば○○の秋ってのは、何か必死になって能動的な活動をしないと食欲の秋という魔物に飲み込まれるぞ、という秋神様からの警告ってことなんじゃない?
タケジー:何でそんな怖い感じに?
ミカリン:そしてブクブクと太った挙句に別れの秋を演出するんですね、わかります。
タケジー:ミカリンには縁がなくて良かったですね。
ミカリン:うっさい。爆発しろっ。