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出会い・・・?

あらすじ

明け方バイトから帰ってきた時広だが

家に異変が・・・?



 最初は何でもない家鳴りだった。


 建てつけが悪い我が家ではトラックが通るたびに家鳴りするのだから慣れた物である。


 そして次は風。


 これも隙間風というより普通に風が素通りしていくのでこちらも慣れっこ。


 しかしその風は段々と大きくなって行きまるで台風のように我が家で回り始める。


 慌てた俺は必死にカップラーメンをこぼすまいとしっかり握っていたが、段々とそれが厳しくなるほど風が強くなっていき、ゴミが渦を巻いて部屋の中で狂喜乱舞していると中心部に集まって行く。


 そしてそのゴミが一斉に弾かれたように周りにちらばった。


 分厚い週刊誌が顔面に当たって痛かったがそんな事を気に留めている場合ではない。


 その中心部がだんだんと光輝くと除々にそれが地面に落ちて行き、地面に付いたと思ったらまるで閃光手榴弾スタングレネードのように一際強い光を放ち、あまりの眩しさに手で目を隠す。


 そして段々と眩しさが和らいで行く。


 恐る恐る目を開けるとそこには信じられない光景があった。



「お、女の人……?」


 ひきっぱなしの布団の上に女の人が静かに寝ていた。


 念のためもう一度説明しよう、万年床の上に女性が静かに寝ていた。


 明らかに日本人ではない大理石のような透き通った白い肌。


 かなり手入れの行き届いているであろう美しい髪は銀髪で少し青みがかかっていた。


「青みがかってる……?」


 人間的に不可能な髪色である。


しかし今は髪染めでどんな色だろうと作れるためにそこまでおかしくないのかもしれない。


いや、部屋に現れる時点で相当おかしいくはあるが。


「それに……、耳が尖っている……」


 そこが1番に目がついた。


 人間離れした長く尖った耳。耳が尖った人なんて聞いた事無いぞ……?


 恐る恐るその女性に近づいて行く時広。


「あ、あの~……。大丈夫ですか……?」


 声をかけてみるが反応が無い、ぐっすり眠っているのであろうか。


 しかし時広とていきなり部屋に現れた女性に話しを聞かない訳には行かないので、そっと肩に手をかけてゆすろうとすると、その女性が飛び起きた。


「a;kf#ja;$$di&d;afj;*;+@!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「すいませんすいません!!!ごめんなさいごめんなさい!!」


 尋常じゃない剣幕で時広の肩を掴んで激しく揺すりながら何語かわからない言葉を喋る彼女。


 その剣幕に飲まれて訳もわからず謝り倒す時広。


はたからみたらとんでもなくシュールであるが二人共真剣であった。


「;;li;gsdg:;gs;d:sa/.\!”#$%&!!!!!!!!!!!!!!!!」


「ごめんなさいごめんなさい日本語しかわからないですううう!!!!!!!」


 尚もわからない言語で喋り続ける彼女に泣きそう、いや、すでに泣いてる時広はされるがままであった。


 そこで彼女は一旦時広の肩から手を放すと神様に祈るような格好でしばらくブツブツとなにかを呟いているとその両手が徐々に光に包まれいていく。


 そこは有り得ない光景なのだが、パニック状態の時広にはもう思考する頭は残っていなかった。


 そして彼女がその光っている手で時広のおでこと自分のおでこに手を当てる。


 一瞬ビクッとして後ずさった時広であるが、彼女がなにかしようとしているのを汲み取り、目をつぶって彼女の手がおでこに触るのを待った。


 一瞬ひやっと彼女の手がおでこに触るのがわかったが、段々とそこが暖かくなってくる。


 極弱いドライヤーを当てられているような感じと言えば1番しっくりくるかもしれない。


 そして彼女の手が離れると同時にその温かみは無くなり、少し名残惜しい時広だったが彼女がまた何か言いたそうにしていたので黙った。


「これで私の声が聞こえると思うのですが」


「へ? あ……え……?」


「私の言葉がまだわかりませんか?」


 さきほどまで全くわからない言葉で喋っていた彼女が流暢な日本語で喋っているのに驚いたあまり素っ頓狂な声を上げてしまう時広。


「あ、き、聞こえてます聞こえてます!」


「良かった。魔法が通じないほどのへんぴな所だったら……」


「魔法……?」


 なに電波な事言っているんだこの女の人は? と一瞬思った時広だが先ほどの光景からもうなにも聞くまいと、時広は心の中で誓っていた。


「あ! こうしている場合ではありません! 申し訳無いのですが此処は何処か教えていただいてよろしいですか? 私は決して怪しい者ありません。シュミザール森の深くにあるエルフの集落の皇女であるリサルフィーヌ・マルガナサッツ・ウィンディーヌと申します。」


 シュミザール森というのを聞いた事が無い時広であったが、外国にそんな場所があるのだろうかと薄ぼんやり考える。しかし今何処かを聞かれたので素直に答えようと時広が口を開く。


「えっと……、ここは日本の首都東京の千代田区って所だけど……」


「ニホン……? 聞いた事がありませんね……。シュトトーキョー領のチヨダクなのですか?」


「え? 領って何?」


 全く噛み合わない両者の会話。


 このままではラチが明かないと思ったリサルフィーヌは。


「申し訳ありません、今は火急で時が惜しいのです。領主館を教えて頂けませんか?」


「いや、領主館って何ですか? てか日本を聞いた事が無いってどういう事です? 千代田区を聞いた事が無いならわかりますけど……」


「ああ、もう!! らちが明きませんね!! 家の修理代は後で持ってきますので失礼します!!」


 そういうと玄関から出て行ったリサルフィーヌ。


 彼女はまだここが異世界だとは気付いていなかった。



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