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誰かを信じる それはきっと崇高で、勇気が必要で、そして残酷な事。
でも現代を生きる大半の人にとってそれは義務に縛られた機械的なものか、中身のない軽薄なもの。
そこに意思は無くて、あったとしてもきっとそれは狂気と愛憎が見せる幻想の押し付け
所詮擬物
本物なんて知らないまま私達は生きて行く
生きていけてしまう
春を告げる桜の花びらが私の視界を占領する
こんな季節になると、私の思考は猫になる方法で気づけば頭がいっぱいだ。あの子たちはいつものんびり何も考えてないような顔をしながら日々を貪っている。
正直羨望の感情を隠せない。
というかあまりにも羨ましいから今朝はしつこく絡んでやった。これで少しはご主人様の苦労を知ってもらいたいものだ。
そんなどうでも良い事を考えながら私は高校初登校の通学路を消費する。
翡桜海高校
私の通う高校だ
ウグイスって言う実業家が運営する私立
噂では本物のウグイスが運営してるらしい
だとすればなんてバカバカしい学校だろう
ていうかついに私は鳥にまで管理されてしまうのか。猫に憧れ、鶯に管理される私…
いつから私は虫かネズミの類になったのだろうか…
…………………………………またどうでもいい事を…
「はぁ…」
思わずため息がこぼれる。
「はぁ…」
あ、またこぼれた
「はぁ…」
わぁ凄い まだこぼれる
「はa」
流石にこれでは変人扱いされてしまう
私はため息の濁流を塞き止めるべく昼ドラのように重い足を前に進める。
しばらくすると両脇に1mくらいの鶯像がそびえたつ校門が見えてきた
ワァオ鶯サンコンニチハ!!!!
心のなかでしっかり挨拶………完璧だ……
私はその冥界の門を通り抜ける。
桜の木が私を歓迎するかのように立ち並ぶ。
ー少し寒くなってきた。
そのまま校舎までの道を歩く。
チラホラとほかの生徒の姿も見え始める
夏服、冬服。この学校の2種類の制服。どっちもかわいい。
いきなりどちらも見れるなんてラッキーだなぁ!!
ーでも何で夏服なんて着てるんだろ
海と山に囲まれたこの学校は景観がよい事でも有名らしい。夏になれば海とか行きたいなぁ〜とも… 違う。
ー他に何か考える事…考える事…
……
まぁまぁ長い桜並木道を抜け私は下駄箱に辿り着く。
…
そしてクラス表を探す。
ー手が震える
どこにあるのかなぁー
ー頭に白いモヤが
ここじゃないのかぁー誰かに聞くかー
ーここはどこ
…
…
…
新入生のクラス内訳が書かれている看板は下駄箱の手前。桜並木道を少しそれた場所にあった。
……
………
…
……
…
あの時みたいに、私は両手で小さく祈る
縋るように 怯えるように ■■■■■■
上から順番に名前を確認する
誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も居ませんように誰も………
紛らわそうとした努力虚しく、永遠の逡巡は終わりを迎える。
目の前に迫ると震えてくる。
「お願い…」
掠れた声で出てきた、存在しない私の叫び
私のーー
瞬間 祈りに温もりを感じる
私は救われた…
と思いたかった




