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姉バカ転生者〜ゲーム世界で魔物を蹴散らしながら妹をバズらせるまで〜  作者: マグローK


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第13話 姉妹愛

「リンちゃん! リンちゃん!」


 デミルを倒してから、私はリンちゃんに慌てて駆け寄った。


 軽く見たところリンちゃんの体に目立った怪我はない。ひどくてもすり傷程度だ。


「……よかった」


 安心できたところで優しく体をゆすってみるとかすかに吐息が聞こえてくる。


「リンちゃん。起きて。リンちゃん」


「んんっ……」


 少しして、気がついたように声を漏らした。


 うっすらと目が開かれると、私の姿を見て、一瞬ぴくりと体を震わせた。

 確かに無事だけれど、配信の音声からすれば手ひどい扱いを受けたに違いない。


「リンちゃん。私だよ。フェネルだよ」


「お姉ちゃん……」


「もう大丈夫だよ」


 優しく声をかけてあげると、リンちゃんはハッとしたように息を吐き出した。


 目元がうるみだしたリンちゃんの様子を見て、私はほほに熱いものが伝うのを感じながら思いっきり抱きついていた。


「あああああ! リンちゃん、リンちゃああああん!」


「ちょ、え、急に泣きすぎじゃない?」


「だ、大丈夫。わだじば大丈夫だよぉ」


「いや、大丈夫じゃないよ。お姉ちゃん涙止まってないって」


 たしかに頬から口の中にまで入ってきてしょっぱい。


 でも、止めようにも止められない。私の意思とは関係なく次から次に目からぼろぼろと涙がこぼれる。

 そもそも、声を止めることも我慢できない。


 だって、ようやくリンちゃんに触れられたんだよ? 堪えられる訳がないじゃん。


 なんだか、首から下げているロケットもいつもより温かい感じがする。

 これのおかげで今日も頑張れた。


 いつも以上に私が変だからか、最初は緊張気味だったリンちゃんの体からも徐々に力が抜けてきて、私の背中に腕を回してくれる。

 こうしていると、より、リンちゃんが生きている熱を感じられる。


「よがっだーよがっだよー! リンぢゃんが無事でー」


「今さらだけど、なんでお姉ちゃんの方が泣いてるの? 怖かったのはわたしじゃない?」


 震える声に涙まじりの顔。

 私ばかりで気づかなかったけれど、リンちゃんもかわいい顔が台無しなほど泣いていた。


 お互いひどいものだ。


「私だって、リンちゃんが死んじゃったらって、怖かったよー」


「もう」


 ぽんぽんと背中を撫でられると少しだけ心が落ち着いてくる気がする。

 駆け寄った瞬間は、安心させてあげようと少しは冷静に話しかけたつもりだけど、もうダメだ。

 心には逆らえない。


「しょうがないお姉ちゃんだなー、妹がいないとダメなんてさ」


「ダメだよ。朝も起きられないよー」


「そうだね。そうだよね。でもほら、わたしはこうして無事でしょ?」


「うん。うん」


 少し落ち着いた心でリンちゃんの姿を見ると、涙でぼやける視界でも、この数年で大きく成長したのがわかる。

 私が同じ状況だったら挫けていたかもしれないのに、リンちゃんはこうして私を慰めてくれる。


「よく耐えたね」


 最後の抵抗でくしゃくしゃっと頭を撫で返してみたけれど、こんなものいたずらでしかない気がする。

 1人で色々できるようになってきたリンちゃんを前にすると、姉のフリができるのもそう長くないと思ってしまう。

 何もできなかった前世の自分を変えたくて行動してきたけれど、全部自己満足だったのかもしれない。


「……右往左往しても、結局、私にできることって、なんにもないのかもな」


 私がいなくても、リンちゃんは1人で世界に知られる存在になれるんじゃないか。

 そんな疑念が途端に頭をもたげてくる。


「お姉、ちゃん?」


「ううん。なんでもない!」


 ぽつりと出てしまった弱音を振り払って。私は立ち上がった。


 あくまで最後の抵抗を続けるために私は草を払って座ったままのリンちゃんを見下ろした。


「帰ろうか」


「…………」


 言おうか言うまいか迷うように、リンちゃんは目を伏せている。


 少しだけひんやりとした空気が胸を撫でて通った気がした。


 亜人たちにとんでもないことをされたんじゃ、と思っていると、「ん」とリンちゃんがめずらしく手を伸ばしてきた。


「お姉ちゃん。立たせて」


 こんな甘えはいつぶりだろう。


「いいよ。お姉ちゃんだもん」


 気持ち悪いくらいに、にやけてしまうのを我慢して伸ばされた手を取ろうとすると、私の手が思いっきり引かれた。


「んおっと」


 予想外の出来事に体勢を崩してしまう。


 倒れないようになんとか地面を踏みしめるも、なぜか顔を近づけてくるリンちゃん。


 必死に顔を逸らしてみたものの意味はなく、唇が触れてしまった。


 ほとんど勢いが死んでいたせいで、柔らかい感触が鮮明に伝わってくる。

 体にしびれるような電流が流れた気がした。

 落ち着いてきていた心臓がどくどくと脈打って全身が熱を帯びてくるのがわかる。


「り、りりり、リンちゃん!? こ、これは家族ですることじゃないような。それに、え、えーと……、え!?」


 目が四方八方へ泳ぎまくる私を前に、リンちゃんは小悪魔のようないたずらっぽい笑みを浮かべていた。


「いつもありがとう。大好きだよ。…………やっと言えた」

いつも読んでくださりありがとうございます。


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