酒井太一の悲しき果実【シュール編】
太一の肛門からフルーツを排出する能力は、日に日にパワーアップしていた。
ある日、彼が排出したのは──
「……まさかのスイカ型UFO?」
巨大なスイカがポンッと出てきて、そのまま空中でホバリングを始めた。
町の人々は仰天し、警察も消防も駆けつけたが、スイカUFOはただゆらゆらと空中遊泳を楽しむだけ。
「いや、これもうフルーツの範疇超えてるだろ!」と町のヤンキーが叫ぶ。
さらに驚くべきことに、スイカUFOは時折レーザー光線のような汁を噴射して、通りすがりの自販機の缶ジュースを冷やし始めた。
「涼しくなったからいいじゃん」と太一は満足げに言ったが、町の人はますます遠ざかる。
その夜、ミカは太一に提案した。
「この能力、逆に“肛門フルーツアート”として世界に発信したらどう?」
太一は真剣に考え込んだ。
「つまり、俺は肛門から芸術を生み出す“シュールアーティスト”……?」
翌日、町の広場に巨大なバナナ彫刻やメロンのモザイクが並び、人々は混乱しつつも興味津々で集まり始めた。
「うーん、これが現代アートってやつか……」
そして、太一は思った。
「これなら、もしかして俺、認められるかもしれない……?」
だが、その直後。空から謎のモンスター集団が降りてきて叫んだ。
「その肛門果実、渡せ!」
──続く。