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酒井太一の悲しい果実2
酒井太一の悲しき果実【続き】
少女の名前は「ミカ」。町外れの森でひとり暮らしている不思議な存在だった。
彼女は誰よりも純粋に「美味しいもの」を求めていた。
「ねえ太一、どうして君はそんな能力を持っているの?」
太一は少し恥ずかしそうに答えた。
「わからない。ただ、この能力は俺にしかないみたいで……でも、みんなに嫌われてる」
ミカは笑った。
「そんなことないよ。能力なんて関係ない。美味しいかどうか、それが大事なんだよ」
そう言ってミカは、太一が排出したイチゴやメロン、バナナを次々と食べた。
町の人たちはまだ避けていたけれど、ミカは変わらず太一の側にいてくれた。
太一は心の中で誓った。
「いつか、この町の誰よりも美味しい果実を作って、みんなに認められるようになるんだ」
その日から太一は努力を始めた。
より甘く、よりジューシーで、誰もが食べてみたくなる“果実”を生み出すために。
だが、果たして……肛門から生まれる果実は、真の意味で人に受け入れられる日は来るのだろうか?
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酒井太一の物語は、まだ始まったばかり。
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