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酒井太一の悲しき果実【腐敗の果実編】
かつて町に甘い奇跡をもたらした太一の肛門フルーツ。
しかし、ある日、突然その果実が腐り始めた。
最初は小さな変化だった。
ほんの少し酸っぱい匂いが漂い、色もくすんできた。
だが日を追うごとに腐敗は進み、肛門から出るフルーツは見るも無残な姿に。
「なんで……なんでこんなことに……?」
太一は呆然としながら、腐ったフルーツを握りしめた。
かつてはみんなに喜ばれたその力が、今や忌み嫌われる存在になってしまったのだ。
町の人々は遠ざかり、フルーツを避けるようにして歩く。
ミカも悲しげに言った。
「これも……あなたの一部なのよね。でも、もう昔のようには戻れないのかもしれない」
太一は静かに答えた。
「肛門フルーツだって、いつかは終わるものなんだな……」
腐敗した果実は、どんなに甘い思い出も染み込んだ傷跡のように、彼の心に残った。
それでも、彼は信じている。
いつかまた新しい果実が生まれる日を。
果てしなくシュールで、少しだけ切ない肛門フルーツの物語は、ここでひとまず幕を閉じた。