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作者: 歌川 詩季

 魚や鳥の機能美といったら!

 翼をもつ獣が鳥なのではない

 鳥がその四肢のうち ふた枠をコストして

 文字どおり手にしたものが翼なのだ

 青空に心を()せたゆえに

 相応の代償を払った者だけが

 鳥と呼ばれるにふさわしい


 青空を飛ぶことが叶わなくなった鳥たちも

 その憧れまで()てたわけではない

 その証拠に

 大地を駆けることを選んだダチョウも

 ちいさく縮んだ翼を手放して

 両腕へと払い戻しなどしないし

 みごとな泳ぎを見せるペンギンだって

 イルカやシャチ クジラとは

 ヒレ自慢をくりひろげることなく

 おのれにはえているのは あくまで翼

 いわば 飛ぶべき新たな青空を

 水の中に見出したのだと

 誇り高い矜持(きょうじ)(うた)いあげることだろう

 やつらが鳥であることには疑いがないし

 やつらのような心意気をこそ

 鳥と呼ぶのだよ


 どんなに重い鉄のかたまりに 炎を吹かせて

 音の速さをはるかに超えてみせたうえに

 あろうことか月にまでたどり着いたのは

 大空への憧れを執念にまで

 燃やしたすえの偉業だとしても

 これを成すのにも

 5本ふた組の指に頼らざるを得ないからには

 どうやっても

 われわれ人間を 鳥と呼ぶことはできないのだ

 昆虫も、いいなぁ。

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― 新着の感想 ―
機能美、言われてみれば確かに、です。 特に虫は個体差もパーツではなく全身に比例するのは、バランスが崩れると不都合があるからなのかもしれませんね。 鳥。いいですよね。最近読んだ本のお陰でますます好きに…
鳥の矜持……! なるほどなるほどと思いながら読ませて頂きました。 飛行機や宇宙船だって、私達は5本×2本×大勢の人数でようやく成し得るんですものね。 そう考えると鳥さんって、すごいです(`・ω・´) …
鳥で思い出した。 東京の某区では4月から鳩に餌をやってはいけない規制が制定されましたね。
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