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エンディングから始まる令嬢転生~エピローグへと続く悪役令嬢no救国計画!物語の結末は私が決めます!!~  作者: 八月 猫
第2章 リサの救国計画

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第51話 返済の顛末

 グレイの時と同じく、東部貴族を統一した者が誰であるのかは記されていなかった。大貴族という表記に関しても、おそらくは最終的にそうであるということを示しているに過ぎないはず。なぜなら、現時点において外様である彼らの領地を管轄しているのがキャベンディッシュ侯爵家と、俗に辺境伯と称されるノーフォーク伯爵家だからである。

 両家はヴァルハラ建国時からの国王派であり、「キミツグ」の攻略対象であるハワードとフェルデナンドの実家でもあるからだ。

 つまり両家は亡国の血筋ではないし、王国に牙を剥く事など考えられない。

 なので、今後覇王のようなポジションで登場してくる者は、どちらかの家の管轄下にある子爵以下の貴族であり、今のところそれが誰なのかまで突き止める事は難しいと思われた。


 しかし、リサの立てた計画が成功すれば、革新派と保守派、そして国王派との協力関係が成立し、東部貴族の蜂起を抑制する事が出来るかもしれない。

 もしそれでも彼らの反乱が始まったとしても、こちらの戦力が整ってさえいれば、エピローグのような結末にはならないのではないかと思う。

 だからこそ、まずその一歩であるダウントンとの関係を深めておきたかったのだけれど……。


「アルカディアはエルデナードの一部であり、そこの領主である君が私の寄子になるというのは極めて自然な事なのだが、今回ばかりは少々政治的な話が絡んでくるのだよ」


 もしかしたらこの行動自体が、彼らを刺激する事になるのかもしれない。

 王家の力が弱まり、譜代の貴族たちの忠誠心が下がってきている事が反乱を起こさせるきっかけなのだと考えていたけど、滅亡までの残りの年数を考えれば、すでにその計画自体は動き出している可能性が高い。そこに保守派と革新派を結び付けるような私の行動が伝われば、それを危惧した者による計画の前倒しが行われる可能性もある。

 あくまでも起こる王国滅亡の要因は一つ。

 本来なら起こらないかもしれない反乱エピローグが、私の行動によって選択されるという事になりかねない。


「……分かりました。私の考えが足りませんでした。今の話は無かったことにさせてください」


 寄親になってもらわなくても信頼関係を築けば良い。

 幸いダウントンはリサにもマイヤー(リサの父親)にも良い感情を持っているようだから、これからもっとその関係を強めていけば同じ事になるかもしれない。


「理解してくれて助かる。ああ!しかしだからといって私が君の事を無下に扱うという意味ではないぞ。アルカディアも私が管轄する領地には違いないのだし、政治的な事でなく、私個人で助けになれる事があればよろこんで手を貸そう!」

「ありがとうございます。閣下のご厚恩感謝いたします」


 特に書面に残るような約束ではないけど、彼が本気でそう思ってくれているのだとしたら、これでまた前のように他領からちょっかいを出された時でも間に入ってくれそうだ。

 今回はこの言葉が聞けた事が成果だと考える事にしよう。


「おお、そういえば、ロジェストに申し付けておった金の返還が終わったそうだな」


 この話はこれで終わりといった感じで話題を変えてくるダウントン。

 素直に私が引き下がったので、これ以上続ける必要は無いと考えたのだろう。


「はい。先日ネルソン子爵自らがアルカディアに訪れ、謝罪と共に1億クルゼほどを返済していただきました」

「まったく……個人でよくもまあそれほどまで抜いていたものだ……」


 これはあくまでネルソン自身が横領していた金額で、シモーネとセオドアに流れていた金はまた別にある。

 コルフローネが全てを管理してくれていたお陰で、今回の個別の被害額はすぐに判明した。


「シモーネは受け取った金のほとんどを使い込んでいたようだし、セオドアも家に残っていた私財を清算したとしても半分も回収出来まい。リサ嬢は本当にそれで良いのか?」


 ダウントンはその不足分も代わりに払ってくれると言ってくれていたのだけれど――


「はい。閣下にはすでに商人たちへの借金を払っていただいております。その上でロジェストから同額に近い額の返済がありますので、私としてもこれ以上は望みません」


 二人の不足額はネルソンに比べれば微々たるもの。そこに固執してダウントンの印象を悪くする必要は無い。


「そうか。リサ嬢が納得しておるのであれば構わんのだが……。私の命の代償としてはちと安すぎるのではないかと……」

「はい?何かおっしゃいましたか?」

「ああ!いや!何でもないぞ!何でもな!」


 豪快なダウントンにしては珍しくぼそぼそとした声で、最後は何を言っているのか聞き取れなかった。


「であれば、リサ嬢は新しい子爵に会ったのだな。どうだった?かの《《神童》》の印象は?」


 そう言うと私の反応を確かめるかのように身体をぐっと前に倒してくる。


 悪事を働いたホレーショ=ネルソン子爵は逃亡中で、すでにその爵位を剥奪された元子爵。

 今回アルカディアに謝罪に訪れたのは、そのホレーショの息子であるレビン=ネルソン新子爵だ。

 年齢は今年十一になる少年だけど、世間では父を上回るほどの天才として噂される神童である。本来なら成人していない子供が叙爵する事はないのだけれど、先代が急死するなどの特別な事情に限り、それが認められている。今回はその《《特別な事情》》である事は間違いない。

 まあ、父があれなんで、あれを上回るという評判なんてどうなんだろうと思っていたんだけど。


「とても子供とは思えませんでしたわ。受け答えもしっかりしてましたし、頭の回転も大人顔負けのものかと」

「ほお!先輩神童の君がそういうのであれば、噂は本当のようであるな!」


 先輩神童って何?

 後輩神童のレビンにカレーパンとか買いにパシらせたり出来るのかな?




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