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エンディングから始まる令嬢転生~エピローグへと続く悪役令嬢no救国計画!物語の結末は私が決めます!!~  作者: 八月 猫
第1章 転生先は断罪済みの悪役令嬢

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第38話 ダウントン侯爵

 アルカディアからダウントン侯爵の治めるジェリエストン領までは北におよそ150キロほどの距離。途中ハーンドラッツ領を横切り、馬車で四日ほどで着く。

 侯爵からの手紙に書かれていた招待の日時は二週間後。

 私はすぐに訪問する旨を記した手紙を送り、同時にハーンドラッツ領主のオリバー=クロムウェル伯爵宛てに領内の通行許可を求める手紙を送った。


 一週間後、伯爵から通行許可証と丁寧な挨拶の手紙が届き、その中には領内通過の際の警護と途中の宿の手配を引き受けるとの申し出が書かれてあった。

 ビクトと話し合った結果、私はその申し出をありがたく引き受ける事にし、こちらの出立日と道中の予定を書いた手紙を返信した。

 今回ビクトには私が不在の間のアルカディアを任せ、同行する従者にはレオルドとメイドのエマ。

 護衛にはウィリアム団長とその部下の騎士、合計20名に決まった。



 アルカディアを出立したその日の内にハーンドラッツ領へと到着した。

 ほぼ予定通りの時間に領界に着くと、すでに伯爵から手配されていた兵士たちが待機しており、いつぞやの侯爵家の騎士様とは真逆の丁寧な出迎えを受けた。

 手配されていたのは騎士10名に兵士100名。

 対してこちらの護衛は騎士20名のみ。

 こちらは他領を抜けるとあって、あまり護衛の兵士に人数をかけられなかったので、この伯爵の心遣いはとても助かった。


 そしてアルカディアを出て四日目の昼過ぎ。

 当初の予定通りにダウントン侯爵の屋敷のあるブライトウッドの街に到着した。


 ヴァルハラの西の都ブライトウッド。

 アストレア王国との唯一の商取引の行われている街で、その人口はおよそ20万人。コナンが1万人弱なので、その比較だけでもこの街の規模の大きさが伺い知れる。

 貴族文化の強い王都に比べると華やかさという点では劣るが、街中から感じる活気は決して王都にはない賑わいを見せていた。

 この街を含めた広大なハーンドラッツを治めるダウントン侯爵。

 伝え聞く分には悪い噂は聞こえてこないけど、その内面については直接会って確かめるしか方法がない。もしかしたら私の話を聞いた上でも子爵の肩を持つ可能性だってないわけじゃない。

 それでも先に進む為には何としても侯爵をリサの味方に引き込む必要があった。

 中立じゃ駄目。

 リサの正義を認められる人物である事を願う!



 そして侯爵家の玄関ホールで出迎えられた私。


「おおー!遠いところ、よくぞいらした!――ああ、すまない。私がここの領主のロバート=ダウントンだ!リサ嬢!君にずっと会いたいと思っていたのだ!」


 この反応は予想してなかった……。

 何だこのうるさいおっちゃんは……。


 貴族というより武人のような立派な体格。

 ライトブラウンの髪をオールバックに固め、口周りにはびっしりとした髭。

 太いゲジゲジ眉毛の下にある大きく丸いぎょろっとした目が私の姿を映していた。


「……閣下、お初にお目にかかります。私はリサ=アルカディアと申します。この度はお招き――」

「ああ!そんな堅苦しい挨拶などどうでも良い!ささ、まずは中に入られよ!疲れただろう!すぐに食事の用意をさせ――ああ!それとも風呂で汗を流すのが先か?いやいや!部屋の用意はすでに終わらせてあるから、そちらへ案内するのが先だな!」


 まずは声のボリュームを落としてほしい……とは流石に言えない。


「おい!誰かリサ嬢を部屋へご案内せよ!」

「――はい」


 扉の横に待機していた若いメイド服の女性がスススっと前に歩み出てくる。


「私がご案内を務めさせていただきます」


 そう言って、まるで腰にジョイントでも付いているかのような機械的な動きで深々とお辞儀した。


「どうぞこちらへ。従者の方もそのままご一緒で構いません」


 彼女は私の後ろにいたエマとレオルドに視線を向けてそう言った。


「リサ様……」


 エマが珍しく不安そうな声を出す。

 そりゃそうだろう。

 こんな出迎え方をされるなんてエマだって思っていなかっただろうから、ここに来るまで緊張していた分、余計に混乱しているんだと思う。


「大丈夫よ。では案内をお願いします。それと閣下。護衛の者たちはいかがしたらよろしいでしょうか?」

「おお、そうだな!この屋敷にいる限りリサ嬢に危険が及ぶようなことはあり得ないが……。まあ、そういうわけにはいくまいな。リサ嬢が望むようにすれば良い!」

「ありがとうございます。それでは――ウィリアム。貴方に同行を命じます」

「――はい。かしこまりました。他の者たちはいかがいたしましょう?」

「ああ!それならば別館の方に部屋を用意しておる!別の者にそちらへ案内させよう!」

「閣下のお心遣い感謝いたします」

「なあに、リサ嬢からの手紙に予定やら同行者の詳細やら子細詳しく書かれていたので準備をするのが簡単だったのだ!普通の者はあそこまで細かく書いて寄こすことなどないからな!」


 そんなに?

 普通に旅のスケジュールを書いただけなんだけど……。

 確かに、こっちの世界の貴族の手紙って飾りまくったまどろっこしい遠回しな言い方で長々とダラダラと文章を書いてる風潮はあるけど、まさか予定を伝える時もそんな感じなのかな?

 そこははっきりと伝えようよ?


 まあ、とりあえず侯爵の第一印象は……合格?

 心の内までは判らないけど、表面上は大歓迎されてる……ような気がする。

 うるさすぎるのが減点だけど、化かし合いが得意そうなタイプではなさそう。


 この印象通りなら話が早そうなんだけど……どうだろ?




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