日常
レクトとの生活は驚きだった。
洗濯は水魔法と風魔法で、掃除は風魔法、料理は火魔法を使ってサクッと終わらせてしまう。
そして彼の料理は絶品である。
聖女に与えられる力は1人1種類でその力の差も大小である。
どう見てもレクトの力は規格外でそれを何種類も使いこなしているのだから開いた口が塞がらない。
裕福な人しか持てない聖女の魔力を込めた魔石も無いようだ。
「魔石も無しに色々な属性の魔法を使えるのですか?そんな人見たこと無いです。」
「まぁ魔法というか呪いの力かな。
フリージア、驚きすぎて口開いてるよ?」
どうやらとても間抜けな顔をしていたようである。
慌てて口を閉じ
「では畑の草取りに行ってきます。」
「あんたの回復力はゴブリン並みだけど
一応病み上がりだし、無理しないでね。日差し強いからそこの帽子使って。」
言葉はぶっきらぼうだけど気遣ってくれるレクトに感動する。
私はお礼を言い元気よく外に出かけた。
空は青く森の木々の葉の緑が目に眩しい。
世界はこんなにも綺麗だったのだろうか。
サークレットを付けていた時には何も感じなかった、日常の一つ一つが鮮やかに目に写る。
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30分くらい畑と庭の草むしりをしただろうか。
ふと顔を上げた時、森の奥に光るものを見つけた。
「なんだろう?」
近づいてみると額に宝石のついたリスみたいな魔物が血を流して倒れている。
「可哀想。大丈夫よ、手当てするから。」
フリージアは魔物をそっと手で包み、家に戻ることにした。