呪い
レクトは無愛想だけど甲斐甲斐しく世話をしてくれる。
オムツや包帯を変えてもらい重湯も食べさせてくれた。
その度に恥ずかしいと私は悶絶したが、レクトは一ミリも興味がないのか無表情で手際良く行う。
サークレットを外した後の食事はすごく美味しく感じて
美味しすぎて涙が止まらない。
(重湯ってこんなに美味しかったのですね)
おかわりもしたかったが数日間何も食べてなかったからと断られた。
食べた後
(あれ?なんだか力が身体から湧いてきます。
傷の痛みも少し和らいだような…)
「ふーーん、流石は聖女じゃん」
ニヤリ、とレクトは悪い笑みを浮かべた。
(悪意が無さそうだと思っていたけれど、私をどうするつもりなのでしょう?
なぜこんなに世話をしてくれるのでしょうか?)
「レクトさん、あの…私が聖女だとご存知なのですか?」
「レクトでいいよ。レクト様でもいいけど。」
ニヤリと笑みを浮かべるレクトは良い人には見えない。
「僕も男だけどあんた達、聖女みたいな力があるからね。なんとなく分かるんだよ。」
(男の聖女?聞いた事がありません。この国、ホワイティア王国では女性にのみ奇跡の力が宿ると言われていますし。)
「では失礼しまして、レクト。そのような事聞いた事が無いのですが…」
「僕の力は聖女と違って生まれつきでは無いからね。
呪われて魂に絡みついた力だよ。」
クックッと嗤うレクトに背中がゾクリとする。
(…身体が回復したら早めに出て行ったほうが良さそうかも…)
フリージアは心に強く誓うのであった。