三人の戦い
レクトは無数の水の刃で斬りつけ、電撃を走らせる
「やばっ!あれ本当に竜??なんであんなに強いんだよ」
「楽しいな!!俺はまた戦えて嬉しいぞ!」
ベルゼはレクトを斬りつけるがアレスが間に入り防いだ
「お前の相手は俺がしてやるよ」
「人間如きが俺様の相手だと…?舐められたものだな」
「レクトと遊ぶ前の準備運動には丁度いいかもしれないぜ?」
アレスは目に見えぬ速さで斬撃をいくつも繰り出す
虹色に輝く剣はベルゼの腕を簡単に切り落とした
「人間のくせにやるな!俺様の鉄より硬い体を簡単に切るとは」
ベルゼの腕は直ぐに再生した
「ほら、たっぷり遊ぼうぜ」
二人の剣のぶつかり合う音が響き渡る
「アレとやりあうなんて、アレスは魔物並みですわね。ルーナは…いつもなら自己回復するのに傷が治らない。力が底をついたのかしら」
ソフィアがルーナの応急処置をしていると炎の弾が飛んでくる
ソフィアはそれを魔法で防いだ
「あれ?ソフィアもなかなか強いのかな?」
厭らしい笑いを浮かべたアスモがやってきた
「私はお兄様より弱いです。なのであなた方と真っ当にやりあう気はありません」
ソフィアは指先を光らせ素早く空間に魔法陣を描き、召喚魔法を使う。
三つの首を持つ巨大な地獄の番犬ケルベロスが魔法陣から飛び出した
「ワンちゃん、アイツを噛み殺してくださいな」
そう言いソフィアは自分とルーナの姿を幻術で眩ませる
「おいおい…ワンちゃんの大きさじゃないだろ」
ケルベロスはそれぞれの首が魔法を吐き出しながらアスモに襲いかかった。
(ルーナは…ソフィアが付いているから大丈夫かな。マモンの雷魔法は大したことないけど、ルシファーの操る黒炎は厄介だな…)
黒炎は普通の炎と違って簡単に消えず、少し触れただけでも引火する
戦いの音に城の兵士達が駆けつけるが威力の高い魔法を連発しているため誰も近寄らずにいる
(長期戦は不利になるな…一発で仕留めよう)
レクトは炎の壁で退路を塞ぎ、マモンとルシファーに向けてドラゴンブレスを連射した
ルシファーは辛うじて防ぐがマモンは塵となる
「本当に凄いなぁ!レクトは人形じゃ無くて家臣にしてあげるよ」
「ふざけた事を!」
(ドラゴンブレスでも倒せないなんて…)
レクトは鋭い氷の矢を放つ
ルシファーに当たるが矢は刺さらない
ルシファーが黒く鋭い棘の付いた蔓でレクトを縛りつけた
鋭く長い棘は固い竜の鱗を貫通し、体に食い込み血が流れる
「あぁっ!!」
「この蔓は魔力を吸収するんだよ。大人しくなったら隷属魔法をかけてあげよう」
ルシファーはレクトに近づく
「僕の…力を吸収してるの?」
「本当に凄い力だね。私の魔力が漲ってきたよ」
「ふーーん」
レクトはニヤリと笑う
「…何がおかしい?」
「いいよ、僕の力いっぱいあげる」
レクトはルシファーに自分の力を流し込む
「な、なんだ!?頭が…割れるように痛い。この煩い声は何なのだ!?」
ルシファーは動揺し激しい頭痛に思わず頭を抱える
「僕の力はね、呪われてるんだよ」
レクトは最後の力を全て振り絞りゼロ距離からドラゴンブレスを放った
「お父様!?」
ケルベロスと戦っていたアスモがルシファーの元へ駆けつけようとする
「戦闘中に敵に背を向けてはダメですわ」
突如姿を現したソフィアは鋭く尖った鉄の刃でアスモの胸を貫く
「な…に………」
「さようなら」
ソフィアは刃に向けて強い電撃を撃つ。アスモは黒焦げになった
「父上、マモン、アスモがやられた!?お前を早く片付けて残りの奴らも始末してやらねば。」
ベルゼはアレスに剣を向ける
切っても切っても再生するベルゼにアレスは苦戦を強いられていた
(くっそ!切っても切っても再生しやがる。致命傷は無いが血を流し過ぎてフラフラして来たな…)
アレスは全身傷だらけで左肩に深い傷を負っている。
「アレス!引きますわよ!」
ケルベロスに乗ったソフィアが現れ、ケルベロスがアレスを咥え走り去る
力を使い果たしたレクトとルーナもそれぞれ口に咥えられていた
「逃さぬぞ!!!」
(私もそろそろ魔力切れです。…非常に不味いですわね)
「お前たち派手にやり合ったな。
私はこいつを捕まえるのに手間取ってしまった。遅くなってすまない」
ゴルゴンの首を持った白竜が現れた
「白竜、裏切ったのか!?」
「長年に渡り幼な子達から搾取し、聖女様を犠牲にしていた報いだろ?
私は道理に反する事をする者達は好まぬ。今日限り王家に仕えるのは辞めさせてもらう」
白竜は巨大な岩をいくつも出しベルゼにぶつける
ベルゼは腕で弾きかえし白竜を斬りつける。
「私の固い鱗にお前の剣は届かぬ!」
白竜はベルゼの剣を掴み思いきり頭突きをする
ベルゼは気絶した
「この者には今までの悪事を白状させ、民の前で裁きを下す。」
白竜は魔法の縄でベルゼを縛り上げる
「白竜様ありがとうございます。みんな重症なのでお屋敷を借りても良いかしら?」
「かまわぬ。後の処理は任せてゆっくり休みなさい」
ソフィアはケルベロスを走らせ屋敷へと向かった