実証機
いよいよ実験室から飛び出るときがきた。
今まで小さなところで、コンピューター上の演習や、必要以上に負荷をかけたりとした実験室でできるようなものをしていたが、今日からは大空の下を飛び回ることになる。
緊張をしていないといえばうそになるだろう。
手野重工業の一研究員でしかなかった俺が、次世代航空機の設計リーダーに抜擢されるなんて考えもしなかったことだ。
大変なこともたくさんあった。
他社が失敗したり、逆に成功したり、その中で自社製品がうまくいかないことも多々あった。
それでもようやく、今、そのスタート地点に立てたのだと思って、実験用の滑走路へと向かって歩き出した。