プロローグ 世界は聖女を求めてる
プロローグです。
ここは人々と魔族が暮らす世界。
暮らしているといっても、別に仲がいいわけではありません。
むしろ、お互いに対立し長い歴史の中で人々と魔族は苛烈な戦争を繰り広げていました。
魔族は魔王を中心に結託し、その力を拡大しています。
そして、現在、魔族は長きにかけて積みあげてきた力を頼りに、ついに人間たちを滅ぼすために動き出したのです。
そして、ここエウルスピア王国では、勇者を中心として猛者たちを募り魔王の手から世界を救うために冒険へと出発したのでした。
「それでは行ってまいります!!」
「どうか、エルドア様の加護があらんことを!」
勇者たちは多くの国民からの声援を頼りに、冒険へ出発しました。
しかし、いくら勇者が勇んで出発したとしても、それだけで魔王を倒すことができるというわけではありません。
勇者が力を発揮するためには、創造神エルドア様の加護が必要不可欠です。
勇者に世界を救ってもらうために、どうすればエルドア様からの加護を受けることができるのか。
王国の神官たちは、エルドア様からのありがたいお告げをいただいたのでした。
「エルドア様。私たちはいったいどうすればいいのでしょうか!!」
「うーーーん、そうだねえ。よくわからないけど、聖女4人くらい集めて俺のために祈らせてみたら? 聖女たちに祈ってもらえるんだったら、俺も力が出る気がするんだよね~」
「せ、聖女を4人ですか?! しかし、この国の中からいったいどうやって選べばいいのでしょう?」
「まあ。それは、ほら、あれだよ。国中の聖女たちを集めて4人生き残るまで戦わせてみるとかさ? 最後まで残っていた人は絶対力強そうじゃん?
あー、でもやっぱりかわいい子たちがいいな。かわいい聖女4人に祈ってもらえた日には、僕もうそのまま世界救っちゃえると思うんだよね。
……うん、そうだよ。かわいい子たちが絶対いいよ。面倒見がよくて、美人で、料理もおいしくて、毎日俺の名前呼んでくれる聖女とか来たらもう最高だね!!」
「な、なるほど……」
「そういうわけだから、そんな感じで適当にいい感じの聖女たち集めておいてよ。そうしたら、きっと俺も加護バンバン与えられると思うからさ」
「あ! 待ってください、エルドア様!! それではあまりにも適当な!!」
エルドア様のありがたいお告げはそこで終わったといいます。
「なあ、どうする?」
「どうするって言われても、そんな聖女なんてこの国の中にいるのか?」
「わからないよ。でも、エルドア様に言われたから集めてみるしかないだろう」
「……とりあえず、募集要項でも作って、募ってみることにするか」
「大丈夫かな? 本当に集まるかな?」
「大丈夫だろ。聖女なんて、大変な役職に転職する人なんて、相当なお人よしかヘンタイしかいないんだから」
そうして、魔族の手からこの国を救うための募集要項が作られました。
「よし、これでいいだろう。給料も高く設定して、憧れの王城での勤務。みんな仲良くアットホームな職場です、まだ誰も決まってないけど。一緒に世界を救ってみませんか? と」
「本当にこんなので集まるかな?」
「大丈夫だって。こんな好条件の求人なんてなかなかないんだ。これならエルドア様好みの優秀な聖女も入れ食い状態だろ」
「でも、それでピッタリ4人しか来なかった場合はどうするんですか?」
「そうしたら、その4人を集めるしかないだろうけど、まさかそんな状況が生まれるわけないだろう」
「それもそうですね。心配しすぎました」
「「ハハハハハ、ハハハハハ」」
そんなこんなで、私たち聖女4人は集まってきたのでした。
【はじまりはじまり!!】
お読みいただきありがとうございます!
世界を救うために集められた聖女たちのドタバタコメディ、ぜひお楽しみください。
創造神だって、そりゃ癒しくらいほしくなるのよね。卑しいやつめ()
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