本性の話
誰かの本性って、知りたい。
隠してる性格が知りたい。
知りたい。
「どうかしたんですか?」
赤紫色の髪。
青の制服姿。
彼女は俺へ声をかける。
彼女はおとなしく、静か。
笑顔がかわいい。
けど、隠してる本性はあるはず。
本性は冷たく、怒りや、だらしのなさとか。
そういう、俺も隠してる本性を隠すのが彼女はうまい。
「今日、とても楽しかったです先輩。大好きです」
「…………あ。うん」
本性は違うだろう。
違うのに隠すのがうまい。
俺は本性が好きだ。
といっても、根性の腐りのみの本性は少し、苦手だ。
心からの本性。
たった一つへの強い思い。
そこに、芯があるか。
俺は彼女へという。
「本性が知りたいんだ」
「本性………?これが私です…よ?」
「隠すのうまいな。だから好きなんだ。本性を隠して、隠して……………」
彼女は俺を壁を背にして、俺の股下に右足を入れる。
彼女は、ニコリとする。
「仕方なく先輩に付き合ってあげてるんだから黙ってれば?」
本性の相手の表情の変わる瞬間。
それこそ、俺の好きな顔。
小さな犬は、ソラの顔の前に手を位置する。
その光景を見せないため。
「ルー?どうかしたの?」
「おぬし、こっちは行けないあっちに行くぞ」
俺は本性が好きだ。
彼女の俺を見る表情が好きだ。
「先輩。黙ってれば楽しく生きられますよ?」
ゾクゾクする。
俺は背が震える。
「本性…………いいね。ほんっとに好きだ」
彼女は笑顔がかわいい。
「先輩は本当に頭がおかしい人ですね。でも、好きですよ?私も」
「嫌いの方がゾクゾクするけど…」
彼女は、冷たい顔をする。
「先輩。そういう素直でいるの、やめた方がいいと思いますよ?人間は残酷な生き物ですから」
俺も笑顔を作る。
「俺は嘘をつかないだけだよ」




