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空の存在  作者: 進道勇気
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外の話

僕は外に出れなかった。

ようやく外へと出た。

外の世界は誰かと誰かが出会って、協力したりして、生きている。


だけど

最初はようやく出れた

これで普通と思ったのに


外へと出たら


外って、こんなにも狭いんだ

知らなかった

もっと、広いと思ってた

もっと、広くて、もっと、もっと


外へと出れた

よかった

なのに


この気持ちは、なんだろう…………

誰を見ても、何も感じない。

誰といても、何も思えない


どうして?

僕は…………あ…れ?


僕は…………ひどく吐き気がした。

理由が分からない


………………なに、これ


だから、僕は町を飛び出した


この気持ちは気持ちがわるくて、

なんか変で、外の外へと出た


なにかないのか

なにか


僕は


……………………


荒野に一人きり立つ。


やっと、落ちつく。


なんだったんだろう

あの気持ち………


僕はどうしたんだろう


そこへ小さな少女が来る。


少女は楽しそうに笑顔だ。

楽しそうだ。

どうして笑ってるんだろう

それにこんな場所を歩いてるなんて…


「あの!」


僕は声をかける。


「あの!君!何してるの?」


少女は笑顔で答える。


「旅をしてます!」


旅?

こんなに小さな子が?

旅って、危ないんじゃ


「旅………危ないんじゃ」


少女は笑う。


「ルーも一緒だから、旅できます」


「ルー?」


「はい!」


「旅って………楽しい…の?」


「私は楽しいです!毎日わくわくです」


「そっ………か。ごめんね、急に声かけて…旅…。気をつけて」


小さな少女は丁寧に頭を下げる。


「はい!気をつけます!ありがとうございます!」


行ってしまう。


行ってしまう。


僕は…………まだ気持ちが悪い

でも、戻らなきゃ

旅………か

いい、な


でも。

旅をできるほどの力がない。


「僕……戻らなきゃ」


僕はうなずく。

戻ろう。

まずは、何だかこの気持ちがよく分からないけど


とにかく戻る


でも気持ちの悪さはなくならない


いつか、この気持ちの理由が分かるといいな

今は自分のしなきゃならないことを

しないと

うん


「今はこっちに集中しろ」


自分へとそう、いう。

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