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ソラとルー
小さな少女。ソラは、歩く。
先は荒野が続く。
荒野が続く。
風景が何も変わらない。
ずっと、変わらない。
ソラはいう。
「ルー!何も変わらないよ!」
ルーは浮かぶ小さな犬。
ルーは静かにいう。
「進めばきっとどこかにつく」
ソラはむうとする。
「どこかに?」
「進みさえすればどこかにつく」
ソラは前へとブンブンと腕を振って歩く。
「うん、進んでみる」
ソラは素直に進む。
変わらない荒野だ。
何も変わらない荒野。
たしかに何も景色が変わらない。
ルーはポツリと。
「変わらなくていつも通り………か」
「ルー?」
「変わらないのもいいなと思った」
「私は色々見たいな」
ソラはにこっとする。
変わらない景色を見続けていたい。
なんてルーは思うが、ソラへ聞く。
「色々見たいのか?」
「うんっ!見たい!一緒に見にいこうルー」
ソラの言葉にルーは答える。
「そうだな。おぬし」
ソラとルーは進む。
変わらない景色を見ながら。




