鏡の話
ソラはまた歩き出す。
特に理由はない。
ソラは空っぽだ。
何もないわけではないが。
空だ。
だから進むしかない。
空でも一人じゃないだけ感謝するべきだろう。
荒野を進むと、ソラの前にソラが立つ。
「!?これは!」
ルーはそれを見ていう。
「鏡だな…これは」
荒野に鏡があり、ソラが映っていただけだった。
「鏡?なんでここに」
鏡のソラは笑う。
話しかけてきた。
「はじめまして。私はカガミ。あなたは?」
「ソラです。こっちはルーです」
「ソラさん。では、鏡の私とちょっとしたことをしませんか?」
「…何をですか?」
「この鏡の中から私を見つけてください」
ソラは鏡の中のソラが手を向けた方を見る。
そこにはたくさんの鏡がそこら中に置いてあるそうで、全てソラが映る。
「…えーと?カガミさんをですか?」
「はい!」
「え。え?どうやって」
「どこかにいます!」
ソラは意味がわからないが素直に多くの鏡を通り過ぎていく。
ソラが映っているだけだ。
「私…しかいないですよ」
「どこかに私はいます」
「どこかって」
ソラは鏡の自分へと手を振ると振りかえしてくる。
「んー。」
を、しながら歩いてく。
と、気づく。
一人だけ手を振らないソラがいた。
「…あなた、ですか?」
ソラの顔をした誰かは笑う。
「見つかりましたね」
ソラは質問する。
「何がしたかったんですか…?」
鏡のソラはにこりとした。
「誰かになりすぎた私は私がわからなくなりました。誰かに見つけてほしかったんです」
ルーはいう。
「その姿ではまだ自分ではないんじゃないのか?」
鏡のソラは一度後ろを向く。
「…そうですね。でも、見つけてくれたので今日も誰かになりたい私が本物だと…多分わかりました。ありがとうございます。ソラさん」
が、振り向く。
そうするとソラは手のひらを前へと出し、鏡の表面にふれている。
「あなたがあなたをいつか、見つけられますように…です」
カガミはその手にふれることはできないがその手のひらに自分の手のひらを合わせる。
「…あなたの大切な時間を私に使ってくださり、本当にありがとうございます」
ソラはカガミと別れた。
ソラとルーは進んでいく。
どこかへと行く。