花の冠の話
終わりが来る。
もう少しだ。
遠くへ逃げろといわれた。
でも、逃げられない。
逃げた先に何もないから。
この島はあと少し…。
小さな少女が島に来ていた。
私は案内をする。
あまり、何もない島だが。
多くの人が店を外に開いて、活気ある。
あとは砂浜とか。
あとは、桃色二十一形の浮かぶもの。
それくらい。
少女は島の中をまわり、島で生きる人々を見た。
みんなが一生懸命で。
生きてる。
少女はこの島を終わるための力として、この島へ来ていた。
少女はそのことを知らないが。
「お姉さん!この島はみーんな!すてきですね!」
この島にあるのは青い空がよく見えて、そしてあの桃色二十一形の終わりの花の冠。
私はその花の冠を………。
私はその前にここへ来た少女と別れる。
力のみをもらうためのため、しっかりと少女は帰す。
「さよなら。楽しかったですか?この島」
「はい!楽しかったです!」
「そう。それなら…よかったです」
私は笑う。
少女へ一ついう。
「終わりの時は来る。そこに意味もない」
「なんですか?」
「この島の古くからの言い伝えみたいなものです」
「なるほど!」
「さよなら。気をつけて」
_____
少女は行った。
私は島の中の花も草もない場所に行く。
そこには桃色二十一形が浮かぶ。
その下で膝をつく少年の元へ行く。
彼は目を閉じ、静かに待つ。
私は花の冠を持ち、彼の元へ。
私はいう。
「彼女は、この島を出た。はじめましょ。楽しかったわ」
彼はうなずく。
私のすることは彼へ花の冠をのせること。
そして、島は終わる。
終わる。
終わるとわかるから、“先に終わらせる”
「終わりが来ると気づかないなんて、なんて………幸せなのかしら」
彼は目を開ける。
「結局自分のことじゃなきゃ誰も考えないよ」
私は彼を抱きしめる。
「さあ、花の冠。終わりを見せつけてよ。この島の人間にね」
彼へと花の冠を頭へとのせる。
桃色二十一形が輝く。
そうすると、桃色の光に島の全ては吸い込まれるように消えてしまう。
残るのは桃色二十一形。
海の上を浮いている。
____
ソラは、それを見た。
何が起きたのか。
ソラの乗る小さな船は行ってしまう。
行ってしまう。
自動の機械の船は行ってしまい、戻らない。
ソラは口を開ける。
その隣でルーはいう。
「終わったな。あの島は」
「みんな、どうなったの?」
「…………終わったんだ。とにかく終わった。決まっていたんだろう全て」
「ルーはなんでわかってる?かんじなの!?」
「聞いたからだ。彼女から」
「私を案内してくれたお姉さん?」
「あの人は知っていた。島の終わる時を知っていた。島は終わり、何も残らない」
「終わる?の」
「………。知らないものは幸せだな」
ソラとルーは海の上に浮かぶ桃色二十一形をみつめる。
何だかわからないまま、全ては終わる。
「んー。私も知りたい………」
「終わりが近づいているということだ。本当にどう生きて死ぬかが重要になってきている」
「そうなの?」
「…………おぬしは終わる時までどういう自分でいたい?」
ソラは終わった島を見ていう。
「…よくわかんない!」
「そうか」
ルーは小さく、笑う。
自分の答えもいう。
「我は………おぬしといる我でいたいな。おぬしといると面倒くさいし、騒がしいが」
「さわがしくないもん!ルーの方がえーと、えと!つめたいんだよ!」
「………冷たいか?」
「むう………!かわいい!!!」
ソラはルーを胸の前で抱く。
「どうして我を抱く?」
「かわいいから!」
「…そうか」
「私といたいんだー。ルーはかわいいなあ……えへへー」
「抱きが強い」
「離せとはいわないね」
「…いわないだけだ」
「私も最後までルーといたいなー」
「…………そうか」
「ルー大好き!」
「………………抱きが強い………」
ソラとルーは島が終わったが残る桃色二十一形を見つめた。




