興味の話
女性。
女の子。
少女。
現実の人間に興味がない。
一つもない。
作られた少女、女性、女の子にしか感情を感じない。
現実の人間が好きになりたかった。
現実の人間に興味がない。
ない
ない
ない
ない
ない
ない
ない
現実に好きをもてて、現実の人間に恋ができないのは、あれだろうか。
どこか、間違ったのだろうか。
少女は俺へと話しかける。
「ここなら大丈夫でしょう?」
俺は白の着物姿で地面に座る。
彼女も三つ編みに白の着物姿で俺を見下ろしている。
「見下ろされてうれしいんでしょう?」
「うれしいですね…。とても。少女に見下ろされるなんて、俺のされたいことです」
俺の本能なのかもしれない。
それが、俺の……。
見下ろされて喜べるなんて俺も変わり者だな。
少女は美しく笑む。
「そんな趣味を持つ自分に恥はないの?」
少女は、三本の糸をたらしてその糸のさきにはビー玉がつけられ
カツンッ
カツンッ
と、ビー玉がぶつかる。
「うれしそうな顔をしているぞ」
俺はフッと笑う。
「現実に興味がない。ああ、俺は………そっちへいきたいです。そして、かわいらしく美しい女性、少女にとことんまで………そんな目で見られたいです」
「見ましょう」
白の着物の少女は地面に降り立つと、俺の方へ来る。
クスクスと笑う。
「頭をなでられたい?それとも……つねられたい?」
「……どっちもありだなあ………」
俺は生まれた時から間違った。
間違ったんだ。
出会ったものも。
…………ああ、俺は…………
俺は片膝をつく。
彼女を見上げる。
俺をあざ笑う美しき存在。
「もっと…………もっと…………ほしいです…」
少女は、後ろを向く。
「待て。こどもが来た」
「こども?」
「…待てだ」
俺は頷く。
「待ちます………」
白の着物の少女は、糸をぽいと捨てる。
だが、糸は空中にいき、ビー玉は
カツンッ
カツンッ
とぶつかる。
______
小さな少女。
ソラは白の着物の少女と出会う。
「何か用?」
ソラは聞く。
「あ………ここは?」
「ここは、人間に興味が持てない人間が来る。あなたはお帰り。ここは……歪んでいる」
少女はソラのあごに手をそえる。
「純粋なこどもはお帰り」
「……はい、さよならです」
ソラはカツンッカツンッとぶつかるビー玉を見た。
そして、去って行く。
____
白の着物の少女は戻ってくる。
「お前。笑っているぞ」
俺は
「待たされることでさえ楽しみです」
「そうか。変わった奴め」
ビー玉は
カツンッ
カツンッ
とぶつかる。
俺はポツリと涙を流す。
「俺は現実の人間に興味がもちたかった………」
「もうなおらないだろう?」
「なおらない、ですね」
俺は変わらないと思う。
絶対に。
「俺は現実の人間に興味はないです」
白の着物の少女との時間。
楽しむしかない。
あざ笑われる楽しみ。
見下ろされる楽しみ。
興味はそれのみ。
白の着物の少女は俺を見下ろす。
「私は見下ろすことが楽しいからね」
糸のビー玉は
カツンッ
カツンッ
とぶつかる。
俺はうっとりする。
「俺は見下ろされるのがとても楽しいです」




