表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の存在  作者: 進道勇気
74/215

指紋の話

指紋しもん


人の指紋は一生変わらないらしい。

ということは……私の人生ももう変えられない?

のだろうか。


「あんたの指紋は巻き込まれるって出てるよ。気をつけるんだね。その指紋は一生変わらないから。」


なんて、いわれたことがある。


昔から巻き込まれやすい。

なぜか…………私が原因なのか、私がそういう原因を作る者を集めやすいのか。


指紋を見るたび思う。

一生変わらない。


諦めようか。これからの人生は。



「あんたの指紋!いいね!幸せが出てるよ」


なんて声がすると。


私は憎たらしく。


「幸せの指紋なんていいわね」


私ははっとする。

これがよくないのかも。



一人で町外れに来る。

そこは静かで、誰もいない。

石垣がある。


「はーあ!指紋は一生変わらない!私の人生も変わらない!」


あーあ、ため息が出る。

でも。


ここから遠くは荒野が見えて。

空が広い。

ここへ来たのは。


そこへ小さな少女が隣にいた。


「誰!?」


少女は手を上げて答える。


「私はソラです!こんにちわ!お姉さん!」



「え………何?」


まあいいや。

それより。


荒野を見る。


荒野の空に下から多くの線が現れ空の形を変えていく。

多くの線は指紋のように不思議な多くの円を赤と緑と青で空を彩る。


「わあ!何ですか?あれ!」


指紋しもん空っていわれてるの」


「しもんそら?ですか?」


「この瞬間だけで毎日違う指紋に変わるの……今日は………?楽しくなりそう?とか?」


指紋空はここの名物だ。

少女が知らないということはここの者じゃない……か。


「ねえ、ソラちゃん」


「はい!」


「手には指紋ていわれる線がいっぱいあるの。もし、一生指紋は変わらない。人生は変わらないっていわれたらどうする?」


私はつい、聞いてしまう。


ソラは指紋は空を見ていう。

強い目で。


「変えます。自分で」


「…」


「変わらなくても、変わりたいなら変えれます」


「そう………ね」


私はソラと別れる。


小さくてかわいいかと思ったらあんなに強い顔して。

忘れられない。



一生変えられない。

指紋が変わらないように。


私は空を見る。


「…………巻き込まれやすいってわかってるなら…なんとか出来るはず」


「そうね。変えるか変えられるかは私………よね」


あの指紋空だって毎日変わった空を見せてくれんだから。

きっと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ